太陽電池育成は、天理工場建設以来のビジネスモデル転換だ--町田勝彦・シャープ会長兼CEO

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--シャープは液晶における競争で何を教訓として学び、それは太陽電池事業の戦略にどう生かされているでしょう。

液晶での大きな反省材料を挙げるとすれば、シャープはノウハウの流出に寛容すぎたということです。液晶の製造装置というのは、液晶の先駆者である当社が装置メーカーと一緒に苦労しながら作り上げていったんです。まさにノウハウの塊ですよ。ところが、そうやって苦労して出来上がったノウハウが、(装置メーカーの商売を通じて)どんどん海外に流れていった。そういう状況に私は危機感を抱いて、(04年稼働の)亀山工場からは徹底的にブラックボックス化をやらせたんですが、それまでの甘さが海外勢のキャッチアップを早めてしまった面は否めない。

太陽電池ではそういった液晶の教訓を生かし、ノウハウの流出阻止に細心の注意を払う。シャープがこれからやろうとしている薄膜太陽電池はまさに製造装置がキモであり、差異化やコスト競争力の源泉。そうはいっても当社だけで大量に装置を作るのは無理ですから、(装置メーカーの)東京エレクトロンと組む。2社で合弁会社を作って、そこで核となる装置を量産する。合弁という形にしたのは、ノウハウ流出を防ぐための戦略です。液晶と同じ轍は踏まない。

--固定価格買い取り制度を背景とした現在のブーム後の需要をどう見ていますか。

世の中はもっと大きなスケールで動き始めています。世界中の国や電力会社が社会インフラとして巨大な太陽光発電所を造るようになる。無電化地域を解消したい、電力インフラが足りない分を太陽光発電で補うなど、海外の政府、電力会社からの相談が何件もうちに来始めた。

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