平壌では1人で携帯2台へ、端末狙う窃盗犯も 北朝鮮の最新携帯電話事情
「今年中に加入台数250万台」。北朝鮮で携帯電話事業を行う高麗リンクがたてた目標は、楽々達成されそうな雰囲気だ。最近、日本の一部メディアが「国民の携帯電話の使用を制限するという内容の内部文書が出された」と報道したものの、北朝鮮での携帯ブームは止まりそうにない。最近の北朝鮮通信事情を紹介する。
北朝鮮で携帯電話事業を行う高麗リンク社は、エジプトのオラスコムメディア・アンド・テクノロジー社と北朝鮮の逓信省の合弁企業。同社は今年4月、北朝鮮での携帯電話加入台数が200万台を突破したと発表した。いまや人口200万の平壌市では2人に1人が保有していることになる。2012年2月には加入者100万人と発表され、わずか1年超で倍増。「年内250万台」は達成確実の見込みだ。
大学生のほとんどが携帯電話を保有
米国の北朝鮮向けラジオ局・自由アジア放送(RFA)は最近、中国へ入国してきた北朝鮮国民の話として、「中央(平壌)の大学で40人のうち37人は携帯電話を持っている。持っていない学生には『まだ持っていないの?』とからかわれる声もある」と、携帯電話の普及状況を伝えている。
RFAはまた、「中央省庁に勤める官僚の家では父・母・子どもに各1台ずつ、一般の労働者の家には一家に1台あり、それを協同で使っている」と、家庭事情による保有状況を紹介している。またこの北朝鮮国民は、市内バスの乗客のうち職場に通う乗客の大部分が携帯電話を手にしているという。
現在、平壌市内などで購入できる最新3G携帯電話端末は約200ドル(約2万円)。平壌をしばしば往来する在日コリアンによれば、かつて500ドルで売られていたと言い、利用者が増えたことで端末価格もそれにつれて手ごろなものになっていると言い、「事業家のような人物は2台以上持っていて、とっかえひっかえ使っているのも普通になった」と言う。平壌も夏には通りにアイスクリームなどを販売する屋台が出るが、そこの売り子たちも携帯電話を手にしながら、商売の合間に利用しているほどと打ち明ける。
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