中国小都市でも、住宅ブームに暗雲 経済成長の柱揺らぐ
[北京 23日 ロイター] - 中国の比較的小規模な都市で不動産が供給過剰に陥っている。中国経済が不動産市場頼みの様相を強める中、10年間続いた住宅ブームがあとどのくらい持ちこたえられるか疑問が生じている。
投機的な購入を一因とする過去数年間の住宅建設ラッシュで、一部の開発業者は、ひとたび市場が減速すれば販売し切れないほどの住宅を建てた。現在懸念されるのは、市場があまりにも急速に冷え込み、今でも動いている数少ない経済のエンジンが止まるリスクだ。
北京の新築住宅価格は7月に前年同月比14.1%、上海は同13.7%上昇したが、より小規模な都市は遅れをとっている。国家統計局のデータによると、中国の上位70都市の新築住宅価格は平均で前年同月比7.5%の上昇にとどまった。
北京のコンサルタント会社、ゲーブカル・ドラゴノミクスの主任アナリスト、ロシーリー・ヤオ氏はリポートで「今でも中国の大半の都市住民が暮らしている何十もの小都市は、必要以上の数の住宅を抱えている。こうした過剰供給が今後数年間、全国の建設拡大の大きな足かせになるだろう」と述べた。
不動産セクターの健全な発展
厳しい住宅市場管理が敷かれる前に投機過熱に苦しんだ温州市では、約2年間にわたり住宅価格が下落している。7月は前年同月比2.4%の下落となった。
苦境に陥った温州市は今月、最も厳しい不動産市場規制措置を一部緩和した。同市の住宅価格下落は例外的な現象とはいえ、中国の景気減速と、住宅市場への取り締まりが厳し過ぎるのではないかとの懸念が高まる中で象徴的な出来事となった。
中国政府は7月30日、「不動産セクターの着実かつ健全な発展」を維持すると約束した。政府指導部は経済における住宅セクターの重要性を痛いほど分かっており、価格高騰により何百万もの世帯が住宅を買えなくなるとの懸念をいったん脇に置いたと業界幹部やアナリストは受け止めている。
CLSAアジア太平洋市場の主任中国ストラテジスト、アンディー・ロスマン氏は「当面は価格上昇を抑えるために住宅購入に新たな制限を加えないという、明確なメッセージだ」と言う。
株式市場が不安定で銀行の預金金利が抑えられている中で、数百万人の中国の貯蓄者にとって不動産は唯一収益が見込める分野だ。
2013年上期の国内総生産(GDP)では不動産投資の比率が14.8%と、前年同期の13.5%から拡大。うち居住用不動産は70%を占めた。