蓮舫氏「二重国籍問題」は、意外なほど複雑だ 台湾国籍に関する法務省の分かりにくい理屈

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ただ、この一連の資料のなかで、見過ごせない問題があった。それは法務省の対応である。少し複雑であるが重要なところなので、丁寧に説明してみたい。

「外国国籍喪失届」と「国籍選択宣言」の関係性とは

国籍法で二重国籍を原則認めていない日本では、制度上、二重国籍状態にある人は、2つの方法によって、その状況を解消することを日本政府に届け出ることができる。1つが「外国国籍喪失届」であり、もう1つが「国籍選択宣言」である。

2つのうち、普通に用いられる方法は「外国国籍喪失届」だ。要するに「私は外国の国籍をもう持っていません」ということを、その国の出した証明の書類をつけて届け出るのである。

しかしながら、国籍を放棄するというのは、なかなかやっかいなことなのである。すぐに認めてくれる国、数カ月から数年の時間をかける国、ほとんど認めない国などいろいろある。そうなると、証明する書類を手に入れることが難しいケースが発生することになる。

そこで救済措置として、「国籍選択宣言」という「逃げ道」が用意されているのである。ここまでは一般論として理解できる部分だ。

会見で提示した証書(写真:筆者撮影)

蓮舫氏が今回公開した資料によれば、台湾で国籍を担当する内政部発行の「喪失国籍許可証書」を、昨2016年9月23日に入手している。台湾の日本における窓口「台北駐日経済文化代表処」に届けたのが9月13日で、手続きが完了したことを証明する証書の日付も同日付になっている(写真参照)。

蓮舫氏も、ここでは普通に「外国国籍喪失届」を出そうとして目黒区役所を訪れた。ところが、区役所から言われたのは、台湾政府が発行する「喪失国籍許可証書」は受理できない、という回答だった。

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