蓮舫氏「二重国籍問題」は、意外なほど複雑だ 台湾国籍に関する法務省の分かりにくい理屈
これは、中華人民共和国と1972年に国交を結んだ日本は、現在、台湾とは外交関係がないので、台湾政府が発行した書類は日本にとっては無効だということである。区役所は当然、法務省に問い合わせているので、日本政府の方針ということになる。
この結果、蓮舫氏の「外国国籍喪失届」は不受理となってしまった。ここで区役所(法務省)から蓮舫氏が指導されたのは「国籍選択宣言」を届けることだった。蓮舫氏はその指導に従って国籍選択宣言を10月7日に行っており、今度は受理されている。
法律上、「国籍選択宣言」を行った者は、外国籍の離脱に努力する義務がある、とされている。しかし、蓮舫氏はすでに台湾の国籍を喪失しており、証明も入手している。努力もクソもない。その公式の証書を、日本政府が受け取らないだけのことだ。
その点を蓮舫氏サイドが法務省に確認すると、台湾の「喪失国籍許可証書」を取得していれば、「努力義務」は果たしたと見なすというのである。
あまりにも複雑な「理屈」
これは本当にわかりにくい理屈ではないだろうか。
なぜなら、そもそも二重国籍状態にあるというのは、外国の国籍を持っているという判断があるからである。国籍選択宣言を行う以上、蓮舫氏は外国国籍を持っているということになる。しかし、その蓮舫氏の国籍が存在する台湾政府が発行した公式な証書は受け取らないという。ところが、努力義務はその証書によって証明されるという。ぐるっと回った末に元に戻ってうやむやになる感じだ。
いったいぜんたい、台湾政府の発行する証書は有効なのか、無効なのか、さっぱりわからない。さらに不可解なのは、台湾政府が出す結婚や養子縁組などの証書は、日本政府は正式なものとして受け取っているのだ。結婚などの証書と国籍に関する証書とは区別しているというのだが、どちらも台湾政府が公式に発行した証書であることに変わりはない。
長年の事務取扱のなかで、法務省も国籍法と「1つの中国」など現実の国際政治との法的整合性をつけようとしながらやってきたのだろうが、あまりにも複雑怪奇だ。これではいくら蓮舫氏サイドが対外的に丁寧に説明したところで、普通に誤解を招いてしまう。