蓮舫氏「二重国籍問題」は、意外なほど複雑だ 台湾国籍に関する法務省の分かりにくい理屈
実際、蓮舫氏の18日の会見では、この話の前半部分である「外国国籍喪失届」が不受理になったことだけを取り上げて、ネット上では「やはり蓮舫氏は二重国籍のままだった」という誤解が広がっていた。
法務省は、この経緯に対する法的解釈をオープンな形で世の中に公表し、日本社会の議論に供すべきではないだろうか。
台湾の人々は法的にどう扱われるのか
また今回の事例は、台湾の人々に、いったい自分たちにはどこの国の法律が適用されるのかという疑問も残した。18日の会見に先立って行われた事前ブリーフィングで、民進党の大串博志政調会長は、法務省から「日本にいる台湾の人々は、中華人民共和国の国民として扱われている」という説明を受けたことを明らかにした。
もしこれが本当ならば、日本の台湾出身者にパニックが起きてしまうような話である。
日本の戸籍では、中華人民共和国の人も台湾の人も、国籍欄には「中国」と書かれる。これは、台湾の国名も「中華民国」であることもあり、どちらの中国であるかははっきりさせず、すべてを「中国」として統一して曖昧にしているだけのことであり、台湾の人が中華人民共和国の国民として扱われているわけではない。
しかし法務省は、昨年9月の蓮舫氏の二重国籍問題が起きたとき、メディアなどに対して、台湾の出身者には中華人民共和国の国籍法が適用されるといった説明を行っており、あとになって「舌足らずな説明があった」と事実上の訂正を行う形に追い込まれている。
台湾の人たちの日本における法的地位はいったいどうなっているのか。これまでの法務省の説明には明らかに「揺れ」が見られる。台湾の人々にとっては、彼らが中華人民共和国の国民として扱われ、中華人民共和国の法律が適用されているのかどうかは死活的な問題であり、関心も高い。
この点についても、法務省からしっかりとした統一見解を聞いてみたい。蓮舫氏の次は、法務省が説明責任を果たすときである。
(文:野嶋 剛/ジャーナリスト)
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