中国人は「新車独特のにおい」が大嫌いだった フォードは「黄金の鼻」部隊を投入して対策
中国での売り上げが今年7%減少しているフォードのにおい査定人は、年間300回に及ぶ検査を実施している。欧州メーカーと比べて3割以上多いという。におい査定人は、車で使用される全材料のにおいについて、「感じられない」から「極めて不快」まで判定する。
カーペットから座席カバーやハンドルに至るまで使用されている刺激性の強い材料は、「焼かれたタイヤ」「腐った肉」あるいは「防虫剤」「汚れた靴下」といったにおいで表現される。そうした材料の一部はサプライヤーに返されることもある。
中国では、フォード車に取り付けられる前の座席は、風通しの良い状態で保管するために穴のあいた布袋に入れられる。一方、消費者が化学的なにおいを中国人ほど嫌がらない米国市場では、座席はビニールで包装されている。
「車内の刺激臭がかなり強いときがある」と、浙江省で高校教師をしているトム・リンさん(24)は語る。リンさんは昨年10月、中国の自動車大手、上海汽車(SAIC)のブランド車「栄威(ロンウェイ)」を購入。半年が経過した今でも、まだにおいが少し感じられるという。
「今度、車を買うときは、変なにおいがしないか、もっと気をつける」とリンさんは言う。
新エネルギー車の普及を大々的に推進
確かに、においは自動車メーカーにとって、中国においてビジネスを成功させる要因の1つにすぎないのかもしれない。同国では、えり好みする購入者は常に新しいモデルを追い求め、政府は新エネルギー車の普及を大々的に推進している。
今年の販売はやや落ち込むとコンサルティング会社のIHSが予想する中国市場では、各自動車メーカーは値引き以外にも消費者にアピールできるさらなる強みを探し求めていると、IHSのアナリスト、ジェームズ・チャオ氏は指摘する。