民意を無視した、消費増税の議論

景気・経済観測(日本)

消費税率引き上げによる影響について、必ずしもコンセンサスが形成されていないことも、増税幅を考えるうえでは重要な論点のひとつだ。

前回の消費税率引き上げ時には、その後にアジア通貨危機、国内の金融システム不安に見舞われたため、1997年度以降の景気後退のどの程度が消費増税の影響によるものであったかについては、必ずしも一致した見方がない。このため、2014年度に予定されている税率引き上げによる影響についても、見方が大きく分かれている。

こうした中では、見切り発車で前回以上の幅で引き上げを実施するよりも、まずは小刻みに税率を引き上げて、その影響を見極めたうえで次の引き上げ幅を決めるという選択肢は十分にありうるものだと思う。

また、予定どおり3%の引き上げを実施する一方で、その悪影響を緩和するために昨年度に続き大型の景気対策を打ち出すという見方も浮上しており、筆者はこれが最も蓋然性が高いシナリオと考えている。

しかし、財政健全化のために増税をする一方で、歳出を拡大することは本末転倒とも言える。大型の補正予算を編成しなければ増税ができないというのであれば、その分、増税幅を縮小するのが筋である。短期間でまとめなければならない補正予算では、事業の選択が場当たり的なものとなりやすく、無駄な支出の増加につながりやすいという問題もある。税率の引き上げ幅で調整したほうがより効率的だ。

消費増税の議論を始めるのが遅すぎる!

このように、消費税率の引き上げ幅を縮小すること自体は検討に値する案と考えられるが、議論を始めるのが遅すぎる。確かに、増税の判断をする際に足元の景気動向を確認することに関しては、できるだけ増税の時期に近づいてから行いたいという意図は理解できる。しかし、増税による経済への影響などについての議論はもっと早く行うことができたはずで、本来であれば、消費増税法を可決する前の段階で十分に議論をすることが望ましかった。

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