「大活躍しても低年収」残念すぎる日本の賃金 成果を上げても上司の「記憶」に残るだけ

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ただ、膨れ上がった人件費について中身をよく見ると、若手で活躍している選手にとって不満が生まれる構造でした。若手選手が活躍しても年棒はあまり上がらない。長く活躍した選手は、成績が下がっても、大きな減棒がない構造。入団1~2年目で彗星のように大活躍して、その後は故障してしまった選手は、大した年棒を得ることがないシステムであったのです。

おそらく、現在の選手であれば耐えがたいシステムでしょう。この部分はプロ野球界全体として改善されて、抜きんでた活躍をすれば、それなりの年棒で報われるようになりました。

ただ、その年棒アップが可能になる分だけ、継続して活躍する選手を球団が保有するには財務的に負担が大きくなりました。そこで、ファイターズは(選手の夢をかなえたいとの観点もあるでしょうが)、年棒がキャップ(上限)を超えれば例外なく手放すことにしたのではないかと筆者は分析しています。

ちなみにダルビッシュ投手の日本在籍最終年度の年棒は約5億円(以後は推定)。日本プロ野球選手会のデータによると、当時、球団の保有する選手は約70人。総年棒が約25億円。この5億円が球団のキャップであったのではないかと筆者は予想しています。

ちなみに大谷投手の年棒は2億5000万円なので、メジャー挑戦が1年くらい伸びてもダルビッシュほどではなく、経営的には大丈夫と判断しているかもしれません。いずれにせよ、高額報酬の選手と経営を見比べてウォッチしてみるのは面白いかもしれません。

通常の会社で抜きんでた場合は?

では、通常の会社で大谷選手のように若くして活躍したトップクラス社員が登場したらどうなるのでしょうか?

多くの企業では「等級」と呼ばれる能力・職務・役割に基づいた区分けが決まっています。この等級のメッシュ(きめ細かさ)は会社によって相当違います。なかには100等級くらい緻密であったり、ざっくりと3つくらいしかない会社もあります。いずれにしても社員は等級で区分けされており、その等級で定められた給与が支給されます。

大抵の社員はその等級を一定の期間で卒業して、上の等級に上がり、給与が上がります。ただ、年齢を重ねると徐々に差が出るようになり、同じ世代や入社時期が同じでも等級に違いが出るようになります。

筆者も大企業に勤務していたので等級に区分されて、同期社員との比較で早く上の等級に上がることで喜んだ記憶があります。おそらく同世代の社員の中で、業績のいい社員数%が早く等級を上げられるとか、逆に悪い社員は等級上昇がやや遅くなるなど、人事制度で決まっていました。

でも、大谷選手のように、若くしてぶっちぎりの活躍ができる人材が登場したらどうか? のんびりとしか等級アップ、昇給ができないとなれば、おそらく耐えがたく感じることでしょう。

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