「釣り女子」を育てる目からウロコの"仕掛け" 釣り人口はピーク時の3分の1になっているが…

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一方で、子供たちが楽しめる「ハヤブサキッズ」イベントも開始。2016年8月11日には神戸市の平磯海づり公園でキッズ祭りを開催しました。約100人が参加し、釣り教室、ゲーム、抽選会など、大いに盛り上がりました。今年も同時期に同じ海づり公園で2回目の開催を予定しています。イベントのほかにも、子供たちが楽しめるオリジナル釣り具も開発中です。

ハヤブサキッズ(ハヤブサ提供)

こうして、新たなマーケットとなる女性と子供を巻き込む戦略を、女性社長ならではの視点で、次々と展開中なのです。

釣りの仕掛けを一手に引き受け

今では、国内130人、世界で1000人の従業員を擁する釣り具大手になりましたが、創業当初は、歯朶社長のご両親2人で仕掛けを手作りしていたそうです。仕掛けはもともと、釣りをされる方が各自で作るもの。その手間を引き受けて仕掛けを作ってしまおうというのが、会社の始まりです。

歯朶社長の父親の田尻隼人氏が、兵庫県三木市で創業。その名前が、社名ハヤブサの由来です。三木市は、鋸(のこぎり)などの金物が特産で、釣り針の産地としても有名です。隼人氏は釣り好きが高じて、この世界に飛び込みました。自ら仕掛けを考案、北海道をはじめ海外まで行って開発を続けました。

ハヤブサの歯朶由美社長(筆者撮影)

魚の大きさが変われば、仕掛けや針の大きさも変わります。その商品数、なんと2万点。この途方もない数の仕掛けを、以前は手作業で管理していたというのですから驚きです。「今ではコンピュータで管理しているのでだいぶん楽になりました」と歯朶社長。コダワリは、材料がすべて日本製ということ。組み立ては中国、ベトナム、ミャンマーなどで行いますが、その工程もすべて手作業。昔から釣り人が手作業で作っていた仕掛けの味わいは、やはり手作業でなくてはだめだそうです。日本から材料を海外に運び、組立てて再度日本へ。その製品は、本社から日本各地、そして世界各国へと旅立って行きます。

最近は生の餌を使うのが苦手という方が増えたので、疑似餌も進化。ゲーム感覚でルアーを使う方も多いそうです。その疑似餌のアイデアはどこから?とお聞きしました。

「船長だったり、ベテランの釣り人だったり、当社の商品を使ってくださるフィールドテスターからですね。そのジャンルの釣りに長けた方に商品を使っていただき、使用感などをフィードバックしてもらって開発に生かしています」(歯朶社長)

現場の声を最大限に生かした仕掛けづくりが、ハヤブサの伝統であり、また強みでもあるのです。

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