日本の「非効率な医療現場」は外国人が変える 医療ベンチャー「エンタッチ」の挑戦
エンタッチが「メディカルパートナー」と呼ぶMR確保にも苦労した。ロバーツ博士は、医師やその秘書たちと人脈を持っている、リタイアしたMRや、子育てのために大手製薬会社を退職した優秀な女性MRを雇用したいと考えていた。どちらも才能豊かで経験豊富な人材であり、自宅でも働けるという環境を喜んでくれる可能性も高いと踏んでいたからだ。
が、実際こうした人材を探し出すのは容易ではなかった。何しろ彼らはすでに「引退」しており、求職していなかったのである。そこで、ロバーツ博士は思いつくかぎりのアプローチを行った。人材スカウト会社に頼むのはもちろん、ハローワークやシルバー人材センター、ママワークスやSNSなどでも募集をかけた。さまざまな施策が功を奏し、最終的には多様な医療分野の販売担当者を50人も採用することができた。
定年退職者と子育て中の女性に標準
ロバーツ博士によると、メディカルパートナーたちは新たな仕事に満足しているという。年配のMRは、自分がかつて担当してきた顧客を担当。「彼らは、『この顧客は武田製薬の顧客でも、ファイザーの顧客でもなく、自分の顧客である』という意識を持ってやっている」とロバーツ博士は話す。一方、女性のMRには自分と同じ子育て中の女性をスカウトしてもらっている。当面は、定年退職者や子育て中の女性に雇用したいと考えている。
エンタッチは将来的に、医師間でコミュニケーションを取れるネットワークを構築したいと考えている。新薬については、MRからの情報だけでなく、それに詳しい経験豊富な医師からも情報を得たいと考えている医師が少なくないからだ。エンタッチはさらに、医師と患者をつなぐネットワークについても構想を練っている。
ロバーツ博士自身は、起業する前に医療関連事業を日本で運営するという幸運に恵まれた。しかし、彼は努力を惜しまず、リスクを負うことを恐れない人は、起業家として成功できると信じている。起業するのに、海外も日本もない。「いいからやってみろ」というのがロバーツ博士のアドバイスなのである。
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