アウディのスーパーカー「R8」は何がスゴいか

610馬力を支配している実感を与える

恐ろしいくらいに疲れないから休憩は要らないほど、だったけれども、眠気に誘われて何度かサービスエリアへ。それでも、精神的には随分と早く関西圏に入る。よくできたGTだと言っていい。

良いところと足りないところ

京都の街を走る。意外に、と言うとデザイナーに失礼かも知れないが、よく目立っていた。特に、外国人観光客からの視線が痛いほど。マットグリーンという色合いもまた、京都の街に似合っていたからだろう。サムアップしてくれる外国人男性が何人もいたのには驚いた。なるほど、イギリスを中心にスポーツカーが大好きな国では大いにウケているクルマ、だけのことはある。女性からの注目度も高かった。

一般的な日本人ウケは、どうだろう。アウディをはじめ、ドイツ車のドライバーからは熱い視線を浴びていたような気がする。「え? アウディなの?」と言っているに違いないと思った歩行者もいた。

けれどもそれでもやっぱり、フェラーリやランボルギーニほどの注目度はない。そこがデイリー・スーパーカーとしてのR8の良いところでもあるし、モノ足りないところでもあるのだろう。もう少し、日本でも知名度が上がってくれればいいのだけれど……。せめて、その類い稀なるスポーツカー性能も、マニアの知るところになってほしい。

近くまで買物にちょっとクルマで出かけよう、なんて時でも気軽に連れ出せる。軽快で正確な動きが、ドライバーに余計なストレスを与えないし、身構えさせないからだ。スーパーカー的な面倒くささがない。実際、街中での振る舞いはアウディそのもので、観光地の狭い道でも気にせず入っていける。途中でUターンが必要かも、なんて思ってしまうと、それ以上進みたくなくなるのがスーパーカー乗りの気持ちだけれど、それもない。

とはいえ、他のアウディ車との違いも明白だ。ドライブしていて、常に節々の強さを感じる。鍛え上げられた筋肉を感じることができるのだ。

ホームコースの嵐山高雄パークウェイにも連れ出した。過去にここを走ってイチバン楽しかったモデルはというとマクラーレン 650Sだったが、R8も負けていない。610馬力を完全に支配できているという実感をドライバーに与えてくれる。強固なボディ骨格とドライバーとが、まるで融合しているようでさえある。

V10パワートレーンを心臓として、シャシーを手足のように操りマシンを自在に動かす感覚は、もはや“カー・サイボーグ”もかくあるべし、という体験である。爆音も、いと楽し。バイカーたちから羨望の眼差しを浴びた。

ガレージに1台、エクストラで欲しくなってしまった。

【今回のテストカー】
アウディ R8 クーペ V10 プラス 5.2 FSI クワトロ|Audi R8 Coupe V10 plus 5.2 FSI quattro
長距離ドライブの快適性 ★★★★★
京都の街中使い勝手 ★★★★★
ラグジュアリー度 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
うらやましがれ度 ★★★☆☆

 

(文:西川 淳)

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