サマーズ?イエレン?次期FRB総裁レースの行方 FRBの出口戦略から見える課題と、日銀への示唆(上)

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ただし、不安材料もある。

今のFOMC(連邦公開市場委員会)はハト派からタカ派まで、見解が広く分布し、時に激しい対立を見せることがある。6月のFOMC議事要旨で明らかになったように、およそ半分のメンバーはいわゆるQE3(大規模資産購入策、LSAP3)を年内に終了するように求めていた。バーナンキは彼らを懐柔しながら、年内にそれの減額を開始し、経済データ次第では来年半ば頃に終了する方向でコンセンサスをまとめ上げてきた。

「イエレンの場合、FOMC内のタカ派をグリップする力はバーナンキほど強くないのではないか?」という心配が聞かれることがある。もしそうした懸念が顕在化したら、FOMCが分裂している印象を市場に与えてしまうおそれがある。

サマーズが指名されれば上院での承認手続きは紛糾

サマーズについては、彼が極めて優秀な経済学者であることに異論を挟む人はいない。また、オバマ大統領は彼に心酔している。しかし、サマーズの場合、その強引な性格が招きうる波乱を不安視する市場関係者が多い。

彼は男女間の能力差に関する発言により2005年3月にハーバード大学教授会で不信任を可決され(同校の歴史上初)、学長を辞任している。サブプライム危機につながる金融自由化を押し進めた中心的な人物として、批判されることも多い。

また、ライトソンICAP(米シンクタンク)のFedウォッチャーであるルー・クランドル氏が指摘しているように、「サマーズではホワイトハウスに近すぎる」という問題もある。

FRB議長は、本来、民主党、共和党の双方とバランスを取りながら、議会の支持を取り付ける必要がある。しかし、サマーズはオバマ大統領と密接な関係があるため、そういったバランスを構築できないかもしれない。グリーンスパン、バーナンキ、イエレンは、いずれも大統領の経済アドバイザーであるCEA委員長を務めたが、政権の中枢にいたわけではなかった。

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