企業の研究開発に「女性が少なすぎる」大問題 理系の女性が少ないだけが理由ではない

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理系女子の就職には大きく3つのパターンがあります。

パターン1:研究分野を生かした就職
パターン2:理系を生かした就職
パターン3:こだわらない就職(文系転向含む)

そのなかで、本記事が題材としているのはパターン1。たとえば水産に関する研究室に所属している場合、水産に関する研究を行うバイオ企業や水産関係の食品メーカーの研究室に就職すること。そもそも、求人数も少なく、競争の激しい就職活動ですから、昨今の人手不足状況はあまり関係ありません。もし、パターン1を理系女子が選ぶと入社前、入社後に「不利な状況」になり、希望がなかなかかなわないこともあるでしょう。

選考に感じた「ガラスの天井」

たとえば、研究職希望で最終面接まで何回もいきながら内定に至らなかった理系女子のSさん。女性であることが障害になっていたと感じたようです。その理由は最終面接で女性がいたことがあっても、内定が出た学生が男性ばかりであったから。「最後に誰を選ぶかとなると、女性を選ぶことにためらうのかもしれませんね」と肩を落として話してくれました。面接等ではわからない、社内における選考プロセスで男性優位な判断があったに違いない……とSさんは研究開発職の採用には“ガラスの天井”があると感じているようです。

このガラスの天井を生み出す理由はどこにあるのか? 企業は研究開発職の人が長く勤務して同じ研究に従事することで成果が出ると考える傾向があるようです。ゆえに人事異動どころか、仕事自体の変更が長期間ないのも当たり前。なかには20年以上も同じ研究に携わることも普通にあるといいます。

他の職種に比べても、明らかに長期間の勤務を期待されています。なので、結婚・出産等で仕事にブランクができたり退職したりする可能性が低い男子を採用したい。そのため理系女子の選考にバイアスがかかって狭き門になってしまうのではないでしょうか。

さらに運よく企業の研究開発職になれても、職場環境は男性社会で住み心地がよくないかもしれません。筆者が取材したところ、セクハラ、パワハラが厳しい時代ですから、相手を傷つけるような同僚の接し方や上司のマネジメントは減少していますが、仕事を1人に任せてくれない……など不平等な扱いを受けていると感じている研究開発職女性が何人もいました。

このままの環境では女性の活躍は相当に難しいようにみえますが、どのように状況を変えていけばいいのでしょうか? こうした不平等な扱いを解消する方法としてアファーマティブアクションと呼ばれる「積極的格差是正措置」があります。不公平な扱いを解消するため、企業に優先入社など雇用義務づけを行うことです。海外では賛否両論がありながらも格差是正の推進のため各国で導入がされて、米国では入学者選抜時の格差是正措置により多様な学生の構成で学習効果の向上という効果をもたらすなど、それなりに成果を出しています。

こうした、やや「力業」の取り組みで研究職の女性比率を上げることで、女性の活躍を推進することを検討する必要があるかもしれません。

さて、女性の活躍機会が広がる業種も出てきていますが、それで十分とは思いません。職種などで個別に、細かい打ち手を持たないと、うっかりガラスの天井に阻まれる可能性がどこまでも残ることは意識しておくべきでしょう。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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