女性が「本当の気持ち」を口には出さない理由 デキる男は表情からそれをズバリ見抜く

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ここで、Kさんの事例を説明しましょう。

大企業で営業部長を務めていたKさんは、取締役への昇格が目前という重要な時期にさしかかっていました。若くして大きな業績を挙げ、最年少での取締役昇格が目前。ここで大きなトラブルは避けたいところです。しかし、このようなときに限って物事は起きるものです。

自らが過去に開拓して顧客となり、いまでは大きな取引先となっていた大手企業との商談を腹心の部下に任せていたところ、本来であれば2つ返事でYESが返ってくるはずが、意外にも保留の返事だったのです。

長年信頼を積み重ね、固い絆だったはずの大手企業顧客からの保留の返事。この取引先を失えば営業成績の30%を失うことになりかねません。Kさんは青ざめて、すぐに取引先に足を運びます。なんとか面談にこぎつけたものの、やはり回答は保留でした。

表情を見逃さず、建前であることに気がつく

このときのKさんの行動がさすがです。相手方の担当者は淡々と保留の返事をして理由は述べずに面談を後にしようとしていましたが、その時の相手方担当者の秘書の表情を見逃さなかったのです。

相手方秘書とも、長年のお付き合いだったことから、その表情の曇り方を察知し、秘書の耳にも入るような大きなことになっていると察知。保留というのは建前で、他社との契約がすでに進んでいるのではないか、そして、その理由も仮説を立てました。

その後、長年積み重ねた信頼関係を頼りに、相手方秘書に直接電話をいれ、こう言ったそうです。「あなたの立場もあるでしょうから、具体的に返事はしなくても結構です。しかし、もしも、私がこれから言うことが当たっているとしたら、答えがYESなら『担当のSさんが不在だ。折り返す』とだけ言って電話を切っていただけませんか? どうか私に力を貸してください」。

Kさんは、相手方秘書の立場も気遣いながら、起きていることの確認をしました。Kさんの仮説は見事に当たっており、長い間、部下に担当を任せていたことで、関係が希薄となりつつあった間に、競合他社の参入があった、そして、相手方の担当者が変わったのをきっかけに、競合他社への乗り換えの話が社内で上がっていたのです。

そこで、Kさんは翌日、アポなし訪問を敢行。自らこの業務を担当することに加えて、見積額の見直しとともに手厚いサポートのサービス体制を提示したところ、なんと、逆転で契約に至ったそうです。

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