2日夜の習国家主席との電話会談後、米政府は「両国首脳は朝鮮半島での核放棄に向けての誓約を再確認した」と発表。しかし、貿易を通じて中国は北朝鮮に協力しているという明確な警告を加えることも忘れなかった。そして、トランプ大統領は、米国の貿易相手国とはよりバランスの取れた貿易関係を求めるという自身の決意を強調した。
一方、習国家主席は明らかにトランプ大統領に対抗するために、トランプ大統領との会談後、プーチン大統領と面談するためにモスクワへ向かった。その場で、両首脳は「すばらしい友好関係」を宣言。さらに、中国とロシアはその後、朝鮮半島安定化のため、北朝鮮にはミサイル発射実験の「凍結」を、米国と韓国には合同軍事演習の終了を促す提案を行った。
トランプは外交的チャレンジの大きさを感じているのか
中国とロシアは、米国がこれを受け入れないことをわかっていたが、実はそれこそが狙いだった。中国とロシアは、理由は違えど共通する利益を持つことから、いまや対米政策で緊密に連携しているのである。
もっとも、トランプ大統領が今週末に行われるG20で、自身が直面する外交的チャレンジの大きさを理解しているかどうかは定かではない。米政府内の冷静な面々は、米国が軍事行動により核問題を解決しようとすれば、必ず朝鮮半島で破壊的な戦争が起こるのは避けられないとわかっている。米国は軍事行動を起こすならば、韓国在住の10万人近くの米国人を退避させる必要がある。また、軍事行動を行うには米国は韓国の新政権の後ろ盾を得なければならないが、これは非常に難しいだろう。
軍隊や軍用機、海軍戦力の増強など選択肢も限られている。米国防総省は朝鮮半島上空に米国の爆撃機を飛行させることができるが、これはバラク・オバマ前大統領も行ったことだ(そして、ほとんど効果はなかった)。
下院軍事委員会の民主党代表、アダム・スミス議員は4日、記者団に対して、もし核兵器を使えば「体制の崩壊」をもたらすと北朝鮮が思い知るような、確かな戦争抑止力をさらに増強することが、米国にとっての「唯一の」選択肢だと述べた。
一方、米政府、あるいは世界にとって唯一の懸念は、トランプ大統領の「暴言」が自らに課すプレッッシャーとなり、危険な軍事行動によって成果を出そうとしないかということである。
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