不動産不況が波及 ゼネコン共倒れ危機!
「受注審査を厳しくしており、かつて50社はあった取引先を10社程度に絞っている」。中堅ゼネコンのマンション建築担当はそう話す。新興デベロッパー危機が深刻化する中、ゼネコン各社の警戒感が高まっている。実際に危機はゼネコン業界に飛び火し始めた。
請負先が連続破綻 資金繰り計画狂う
ジャスダック上場の三平建設は7月24日、民事再生法の適用を申請して事実上倒産した。東京・元浅草に本社を置く同社は首都圏でマンション建築を主体に展開してきた。が、平成バブル崩壊後に最初の経営危機に直面、2004年に整理回収機構から237億円の債務免除を受けるなどして、再建を目指してきた。ここ数年は300億円前後の受注を確保、業績は安定したかに見えた。ところが、取引先の相次ぐ破綻で資金繰り計画が狂い、7月末の11億円強の決済が乗り切れなくなった。
連鎖破綻の震源は、ケイ・エス・シー(東京都中央区)と興大(同千代田区)の中堅マンション業者2社だった。「カインドステージ」のブランド名で1次取得者向けマンションを供給してきたケイ・エス・シーは、負債100億円を抱えて6月30日に破産を申し立てた。三平建設が工事代金として受け取っていた手形6億円は紙切れと化した。それから1カ月も経たない7月23日には興大も破産。こんどは約14億円に上る工事債権が焦げ付き、三平建設も道連れとなった。
マンション業者の破綻がゼネコン倒産につながったケースは初めてではない。北陸の名門企業として知られた真柄建設の倒産も構図は同じだ。昨年末に不適切な経理処理が発覚した同社は、それでも主力の北國銀行の支援を得て、新体制で再建に取りかかろうとしていた。ところが、その矢先に取引先の愛松建設(愛知県稲沢市)が破綻。岐阜県大垣市内でマンション工事を請け負っていた真柄建設は、6億円弱の焦げ付きを抱え、5日後には民事再生法の適用を申請せざるをえなくなった。