ディズニー「エレナ」を親子で見るべきワケ 「女性リーダー」の描き方が秀逸だ

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背景には、アメリカ国内で増加するヒスパニック系の支持を得たいというディズニーの戦略的な意図がありそうです。アメリカ合衆国国勢調査局の調べによれば、2016年7月1日時点で、全人口の17.8%がヒスパニック系となっています

ちょうど3月にアメリカへ行く機会がありました。特に、全米で2番目にヒスパニック系人口の多いテキサス州で見た風景が印象に残っています。在ヒューストン日本国総領事館の調べによると、州内には1040万人ものヒスパニック系の人々が住んでおり、2042年までに人口の半分に達するそうです。平均年齢が若く出生率が高いヒスパニック系は、アメリカの人口増加に大きく寄与しています。一方で課題は、貧困率が21%と高いこと(白人11%、アフリカ系17%)、また進学率が低く24%が高卒未満であることです。

現地滞在中、特にヒスパニック系人口の多いサン・アントニオという街で、商工会のメンバーや大学関係者と意見交換の機会がありました。街のリーダー達が口をそろえて述べたのは、大学に進学し、高い収入を得られる分野の技能を身に付けることの重要性です。大学は、特に「家族で初めて大学に来る人たちを応援したい」と言いますし、そういう人たち向けの奨学金も充実しています。

「エレナ」に込められたメッセージ

そんな風景を見た後だけに「エレナ」に込められたメッセージを、より強く感じました。それは「リーダーは生まれつきではなく、努力によって『なるもの』」「女の子だからできない、ということはひとつもない」「教育や家族の応援が何より大事」ということでしょう。

一般的に言って、ヒスパニック系の人々は、アメリカ平均と比べて男女の役割分担意識が強いです。「女の子だから」と自分で自分に限界をつくらないで、あなたはできる、というメッセージは、だからこそ、とても必要です。それはちょうど、他の先進国と比べて女性の社会進出が遅れていると言わざるをえない、日本の女の子にも役立つメッセージだろう、と思います。

治部 れんげ ジャーナリスト

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じぶ れんげ / Renge Jibu

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社、ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長、など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』1~3巻(汐文社)等。

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