iPhone発売10周年、船出は苦難の連続だった 次世代機「iPhone8」にも注目が集まっている
[28日 ロイター] - 29日に発売10周年を迎える米アップル<AAPL.O>の「iPhone(アイフォーン)」は、スマートフォン革命の幕開けにおいて極めて大きく貢献した。
この10年間の累計販売台数は10億台を突破し、今秋発表予定の新モデルも機能やデザインが関心を集めている。しかし黎明期の苦戦ぶりは意外と人々の記憶から抜け落ちている。
2007年の発売当初のアイフォーンは、アプリケーションのダウンロードサービス「アップストア」が整っておらず、使える通信回線がAT&T<T.N>の通信網に限られるなど、現在のモデルに比べて使い勝手が悪かった。
当初の販売が振るわなかったため、アップルはこの年の年末商戦では値下げによる販売のてこ入れを図ったほどだ。
アイフォーン開発チームに在籍していたトニー・ファデル氏は28日、ロイターのインタビューで、「アイフォーンの発売1年目のビジネスモデルは散々だった。2年目になってそのことが分かった」と話した。
当時アップルを率いていたスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は、既にタブレット端末「iPad(アイパッド)」を世に送り出し、旧来のコンピューターの領域を乗り越えていたが、それでも今から10年前にはアイフォーンのコンセプトはアップルの部品サプライヤーの一部にすら驚きだった。
初期型アイフォーンに位置情報技術を提供していたスカイフックのデービッド・ベアストウ氏は「ジョブズ氏が当社のCEO兼創設者に宛てたボイスメールがまだ保存されている。当社のCEOは社内のだれかが自分を担ごうとしたのだと思ってしまい、ジョブズ氏に返事をしたのは2日後だった」と述べた。
アイフォーンは、アップストアが導入された2008年になって売れ行きが増大した。アイフォーンの利用者はアップストアを通じてアプリケーションソフトをダウンロードし、アップルは売上高を開発者と分け合う。立ち上げから10年が経ち、こうしたサービス収入はアップルにとって重要な成長分野となり、昨年は243億ドルに達した。
アイフォーンの10周年モデルとなる次の「8」は、新たな世代をアップルに向かわせるのに十分な新機能を備えるのかどうかが関心の的になっている。
バーンスタイン・リサーチのアナリストによると、アイフォーン8には三次元マッピングンセンサー、拡張現実(AR)アプリ、有機LEDディスプレーなどが搭載される可能性がある。
アイフォーンが登場した10年前、市場を席巻していたのはブラックベリーやマイクロソフトの製品だった。今はグーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドを搭載した端末が主なライバルだ。
世界のスマホ市場ではアンドロイド搭載端末が幅を利かせているが、それでもアップルは依然、高価格機種で利益の大半を稼いでいる。
イーマーケッターのデータによると、世界のスマホ利用者数は20億人を超えた。アイフォーン開発に携わった経験を持つファデル氏は、この点からアップルとアルファベットの成功は疑いないとみている。
ファデル氏は「コンピューターとコミュニケーションの世界的な普及が可能になるとはまったく驚きだ。ジョブズ氏がアップルIIやマッキントッシュでやろうとしたのはまさにこのことだったから、嬉しく思っている。ここまで来るのに30年かかった」と述べた。
(Stephen Nellis記者)
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