アップルがクアルコムを「また提訴」する理由

新型iPhone販売への影響は?

アップルは「iPhone 7」からインテル製モデムも採用し始めた(筆者撮影)

アップルは米国時間6月20日、カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所において、クアルコムに対し「アメリカ合衆国憲法修正第1条の侵害」(政教分離、信教・表現の自由に関する法律)で新たに裁判を起こした。
アップルは今年1月にも、米国において、クアルコムに対して約10億ドルの支払いを求める訴訟をカリフォルニア州で起こしていた。

クアルコムは、アップルにとって、iPhoneやiPadなどの携帯電話通信を行う製品のためのモデムチップを供給する重要なサプライヤーの1社。そのロイヤルティに関するビジネスモデルについて、公正さに欠けるとしてその是正を求め、アップルによる裁判が起こされた。

事の経緯と、今後のiPhoneについて、見ていこう。

「ノーライセンス、ノーチップ」で国際的問題に

クアルコムのモデムチップセットは、現在の携帯電話やスマートフォンになくてはならない重要なパーツだ。通信速度と省電力性の向上は、今日のスマートフォンの重要な進化を支えており、クアルコムの貢献も大きかった。

ところが、そのクアルコムに対して、各国の公正取引委員会に当たる政府組織による提訴や、課徴金の支払いを命じる例が相次いでいる。

中国市場では、2015年2月、独占禁止法違反で9億7500万ドルの罰金を支払うことで合意しており、中国におけるライセンス料の低下にもつながった。当時のクアルコムのモデムチップセットのシェアは57%に上る。

これまでに最も大きな課徴金が命じたのは、韓国公正取引委員会。2016年12月に、「不公平なビジネスモデル」で独占的地位を築いたとして、クアルコムに対して1兆300ウォン(約10億ドル)の課徴金を支払うよう命じた。

また、米国合衆国連邦取引委員会(FTC)は、今年1月に、モデムチップセットの不正なライセンス供与に対する裁判所命令を求め、クアルコムを提訴した。この訴状の中には、2011~2016年まで、アップルがクアルコム以外からの調達を妨げていたとして、アップルの名前も登場していた。

問題となっていたのは、「ノーライセンス、ノーチップ」と言われるライセンス形態とビジネスモデルだ。クアルコムは携帯電話メーカーとの間で、クアルコムのチップ供給を受けることを前提としたライセンス契約に同意するよう求めていた。

次ページアップルが主張する「ダブルディップ」問題とは?
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