アップルがクアルコムを「また提訴」する理由 新型iPhone販売への影響は?

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アップルがクアルコムを相手取り訴訟を起こしたのは、今年に入って2度目となる。初めは、前述の韓国FTCの課徴金命令、米国FTCの提訴と時期を同じくする1月20日。そこでの内容は、アップルが韓国当局への調査に協力したことへの報復措置として、クアルコムが約10億ドルの支払いを留保している点の是正だった。

アップルもまた報復措置として、クアルコムへのライセンス料の支払いを停止している。これにより、クアルコムは、2017年第3四半期の見通しから、アップルより支払われるライセンス収入を除外した。

そして今回の訴訟について、アップルのシニアエグゼクティブに話を聞くことができた。その中で同氏は、クアルコムに対して、「ダブルディップ」の是正と、支払いすぎたライセンス料の返還を求めている。

「iPhoneには、Apple PayやTouch ID、デュアルカメラ、ビデオ機能、Retinaディスプレーなど、アップルの技術者が作り上げたイノベーションが盛りこまれています。しかしこれらのイノベーションにまったく関与していないにもかかわらず、クアルコムは、ロイヤルティとしての支払いを求めています。1つの技術に対して、1つのロイヤルティで解決すべきです。現状のライセンス形態は、技術革新の足かせにほかなりません」

ダブルディップとは、チップセットの購入とライセンス供与を別々に扱っていることを指している。この問題によって、アップルは、通信技術に関する特許ライセンス料以上の金額を、クアルコムに支払わなければならないとしている。

スマートフォンの価値は、その進化によって、通信以外の部分への広がりを見せている。つまりアップルは、端末販売価格におけるクアルコムのロイヤルティに相当する割合が低減しているはずだ、と考えているのだ。

より単純な例を挙げれば、採用しているクアルコムのモデムチップと通信技術は同じにもかかわらず、128GBのiPhoneのロイヤルティより、100ドル高い256GBのiPhoneのロイヤルティが高くなってしまうというのだ。

そして、こうしたライセンス条件を、独占的な地位を利用して強いている、というのが、今回の訴訟の主題となっている。

新型iPhoneの製造・販売への影響は?

アップルの事例が特殊なのは、クアルコムと直接契約を行っていない点だ。インタビューに答えたシニアエグゼクティブによると、次のようなスキームとなっているという。

「アップル製品の製造委託先とクアルコムが契約しており、製造委託先から特許のロイヤルティの支払いを求められ、アップルはこれに応じてきました。また、(iPhone 7で採用した)インテルのモデムを使う場合でも、インテルがクアルコムに対してライセンス料を支払っており、インテルからライセンス料が通知されています」

アップルは現在、製造委託先へのクアルコム向けライセンス料の支払いを停止している状態だ。ただし、アップルとしては、クアルコムに対して、今後も「公正な」ライセンス料を支払う用意があるという。

アップルとしては、この訴訟と、製品に関する計画への影響は軽微だとみている。

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