「110番」を受ける警察官の知られざる憂鬱 「市民の安全」とはかけ離れた相談も多い

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きりがないが、箇条書きでさらに紹介しよう。カッコ内は電話を受けた警察官の本音だ。

警察に通報するようなことなのか

○交通関係
・前を走っている車は速度違反だ、捕まえろ(通報者自身その車を追いかけているということは自分も速度超過してるはずなのだが)
・なんでこの道の制限速度は40km/hなのか? 俺はいつも60km/hで走っているが危険はない。規制を変えろ
・後ろのクルマからあおられている

○その他の苦情
・隣の家の毛虫をなんとかしてほしい
・家の軒下にハチの巣ができたので取ってほしい
・ハトが死にそうだからなんとかして
・店にスズメが入ってきたので捕まえて
・自販機のおつりが出てこない
・公園のトイレに紙がない
・パソコンの調子がおかしい
・テレビの電源が入らない
・収集日じゃないのに隣の人がゴミを出している
・ゴキブリが出たのでなんとかして
・パチンコで勝てない

○要望関係
・犬(猫)が車に轢(ひ)かれている
・終電がなくなったのでパトカーをまわしてほしい
・タクシー代がないからパトカーを向けてほしい
・家を留守にするので犬に餌をやってほしい
・自宅の鍵を忘れて、家に入れないので鍵をあけてほしい
・自宅のガスの元栓を閉めたかどうか確認してほしい
・お腹が空いたので何か食べさせてください
※これは、小学生の男子からで、聞くと、「お母さんが困ったら110番しなさいと言った」として掛けてきたもので、当時母親は近隣でパチンコをしていた。

○相談関係
・彼女(彼氏)に振られてしまった
・仕事がないので紹介してほしい
・店の飲食代が高い
・カラスが攻撃してくる

○いたずら

『警察は本当に『動いてくれない』のか』(佐々木保博著、幻冬舎)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

・「人を殺した」と話してそのまま電話を切る
・無言電話
・酔っ払いの戯言
・マニアによる一方通行のおしゃべり
・「今、何時?」

 

本来110番は緊急の事件・事故などをいち早く警察に通報するための緊急電話であるが、これらの不要・不急の電話によって対応できなくなってしまう。たった一秒の遅れによって命を落とすことさえ有り得るのだ。

警察官の精神をむしばむイタズラ電話は問題外であるが、緊急でない場合「♯9110」といった生活の安全や悩み事に関する警察相談専用番号を利用することもできる。国民個々のモラル向上と♯9110の認知が向上すれば、より警察は国民の安全を守ることができるはずだ。

佐々木 保博 危機管理コンサルタント/セーフティ・プロ代表

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ささき やすひろ / Yasuhiro sasaki

1980年から埼玉県警察官として28年間勤務したのち、円満退職。その後、国会議員の公設第一秘書を経て、日本の慢性的な危機管理意識の欠如を痛感。警察では立ち入れないところの「正義」を実現するため「民間警察」として困った人のあらゆる悩みに解決策を提供する、株式会社セーフティ・プロを設立し、代表取締役に就任。警察OBの経験を生かしつつ、日々多様化するストーカー被害、反社会勢力などによる暴力、家族の失踪など日常のあらゆるトラブルに対し、警察や弁護士と違った角度から、常に相談者の気持ちを考えて適切な対応をアドバイスしている。

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