警察は本当に捜査怠慢で動いてくれないのか 元警官が明かす「犯罪から安全に身を守る法」

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頼りになるはずの警察ですが…(写真:Dachs / PIXTA)

5月下旬、東京都小金井市のイベント会場で芸能活動をしていた冨田真由さん(20)が、ファンだった27歳の岩崎友宏容疑者に刺された事件。冨田さんはもともとは事前に警視庁武蔵野署に相談をしており、被害に遭う直前にも110番に通報していました。

しかし、報道によれば、警察は携帯電話の位置情報を確認する操作をせずに、警察官を被害者の自宅へ急行させていたと言います。警察庁の金高雅仁長官は記者会見で「事前に相談を受けながら重大な結果を防げなかったことは重く受け止める必要がある」との認識を示しましたが、覆水盆に返らずとはこのことです。

埼玉県警に28年間勤務した私がまとめた拙書『警察は本当に「動いてくれない」のか?』(幻冬舎)でも触れていますが、近年、警察の捜査怠慢を世間から指摘される事件が後を絶ちません。「警察は動いてくれない」――。そんなイメージを持っている日本国民は少なくないでしょう。

警察の「常識」は、一般の人の「非常識」

警察官として働く人がどのような日常を送っているのか、一般にはあまり知られていないでしょう。まず、現場の警察官のほとんどはとても多忙です。事件が起これば捜査にあたるのはもちろん、それに伴って膨大な量の書類を作成しなければなりません。殺人事件のような凶悪犯罪の場合には、積み上げたら天井に届くほどの量の書類を作ることになるのです。また、警察では国民の安全・安心を守るために検挙件数などの目標も決められているので、普通の企業のサラリーマンのように目標に向けて必死に仕事に取り組まなければいけません。

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