「デスクでお昼を食べる人」の仕事が遅いワケ 昼休みの使い方が集中力を左右する
その2 記憶力アップの「場所ニューロン効果」
外に出る効果は、セロトニンの活性化だけにとどまりません。「場所ニューロン」という、海馬にある「場所を司る細胞」で、自分が今どこにいるのかを忘れないように記憶するための細胞の活性化を期待することができます。
海馬というのは記憶の一時保管庫で、脳に入れられたすべての情報は海馬に一時保存されます。つまり、海馬の活性化は記憶力向上に直結するわけです。記憶力が必要かどうかは仕事の種類にもよると思いますが、ケアレスミスをなくしたり、仕事を進めるうえで段取りを忘れないようにしたりするのに、海馬の活性化は役に立ちます。
「行ったことがない場所」がポイント
また、場所ニューロンは、行ったことのない場所に行くほど、より活性化することがわかっていて、米国企業には、この考えを取り入れているところがあります。私は以前に、米格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空の本社を視察したことがありますが、同社に何十室もある会議室はなんとすべての内装や装飾が違っていたのです。これは見栄えがよくなるというデザイン面だけでなく、場所ニューロンの活性化を考えてのことです。従業員が、内装が違う部屋にいくごとに「いつもと違う場所に来た」と感じるわけです。
外でランチをする人の中には、いつも同じ店を選ぶ「常連派」と、「食べ歩き派」がいると思います。ここまでの説明を読めば、「食べ歩き派」のほうが脳科学的には正解だということがわかりますね。「新しい店ができたから、早速行ってみよう」というフットワークの軽さが、「場所ニューロン効果」を高めるのです。
その3 ひらめき力がアップする「アセチルコリン効果」
先ほどの場所ニューロンの話でも説明しましたが、つねに新しい場所を訪れることは脳の活性化に役立ちます。
これにはもう1つ、「アセチルコリン」の活性化を促すという理由があります。アセチルコリンとは、「創造性」や「ひらめき」に効果がある脳内物質です。アイデア出しや企画を考えるという仕事に深くかかわってくる脳内物質です。
いつもとは異なる刺激を受けるとき、脳内ではアセチルコリンが活性化します。つまり、外食の時に同じところにばかり行く人が同じ刺激を得ているのに対して、食べ歩き派はつねにチャレンジをすることで違う刺激を得ているわけですから、後者のほうが、アセチルコリンが活性化しやすいわけです。
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