自民党に漂い始めた、「都議選1989年の悪夢」 28年前も「首相隠し」で都議選に惨敗した

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6月17日と18日に共同通信が行った全国電話世論調査によれば、加計学園問題についての政府側の説明に「納得できない」が73.8%で、「納得できる」が18.1%。記録文書による政府側の調査で真相が「明らかになったと思わない」が84.9%で、「明らかになったと思う」が9.3%。これを見れば、大多数の国民が納得できず、疑念を感じているということがわかる。

5月に自民党が行った世論調査で自民党は予想獲得議席数で都民ファーストの会をややリードしていたものの、6月の調査では逆転されている。このままでは1989年の再来になりかねないと、多くの関係者は憂慮したに違いない。

では1989年の都議選では、どんなことが起こったのか。

1989年に起きたこととは?

1989年の都議選では自民党は20議席も減らし、代わって躍進したのが社会党(当時)だった。

公認候補だけで18議席も増やしたうえ、8人の女性候補が当選した。この時に社会党委員長を務めていたのが土井たか子氏で、いわゆる「マドンナ旋風」はここから始まっている。

そして今回の都議選の台風の目は小池知事で、またもや女性だ。ちなみに小池知事と土井氏は1993年の衆議院選挙でともに旧兵庫2区(定数5)から出馬し戦ったという因縁がある。この時に22万0972票を獲得した土井氏はトップで当選し、小池氏は13万6000票で2位に甘んじた。

マドンナ旋風は1989年7月23日の参議院選挙でも吹き荒れ、社会党に一気に45議席ももたらした。これに対して自民党は36議席にとどまり、過半数を割り込んだ。

自民党が危惧するのは、こうしたブームの流れがつくられていくことだ。次の国政選挙は次期衆議院選挙になるため、政権選択の選挙で自分たちに不利なブームが起こってはたまらない。

すでに全政党は、都議選を次期衆議院選挙の前哨戦と見なしている。各党の代表が街宣で述べることも、加計学園問題への批判など国政に関することが多くなった。また民進党は「共謀罪強行抗議! 加計・森友疑惑徹底追及!」と銘打った街宣を展開。都議選とは別の活動として位置づけている。

はたして安倍首相はどう出てくるのか。いつまでも1強でいられる保障はどこにもない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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