メガネスーパーの「黒字化」が実現した理由 赤字続きだった企業の何が変わったのか
――さて、1つ目のキーワードは「6年連続の赤字から『安売りはしない』という決断」ということですが、星崎さんが入社する前は、投資ファンドが経営権を引き継いで、不採算店の閉店や希望退職者を募るなどをしていました。実際にそのメガネスーパー入社された頃、どういう状況でしたか。
やっぱりファンドが入って、いよいよ黒字になるんじゃないかとみんなが期待して1年半、いろいろやってはいるけども赤字がどんどん増えていく、トンネルの先が見えないという感じで、社内的には、いい雰囲気じゃなかったですね。
――「いい雰囲気でない」というのは具体的には?
例えば、私は“他責”とよく言うんですが、ようするに人のせいにするんです。雨が降ってることすら人のせいのこととか。あとは部署間が足を引っ張り合う。仕事を「それは僕の仕事じゃありません」と押しつけ合うんですよね。
あと、僕はよく言うのですが「見せかけの正論」。一見正しそうなんですけど、それは「やらない理由でしかない」というものを私はそう呼んでいます。そういうのが横行して、みんながやる理由を探さないで、やらない理由に逃げ、そして誰も責任をとらない。誰も何も決めないという組織になってました。
「安売り合戦」に勝利はない
――実際のメガネ業界の状況というのはどうでしたか。
メガネ業界は、安売りのファッション軸や価格軸で勝負している競合他社に引っ張られて、メガネスーパーをはじめとする、いわゆる歴史のある全国チェーンが、価格をどんどん下げにいってしまった。本来自分たちの武器である、いわゆる技術とか検査力っていうところをおざなりにして値段勝負にいってしまった。
私は「値段勝負」に勝利はないという持論があるので、安さで戦うのであれば、究極的には自動販売機でいいですから、なのでそこは変えなきゃならないと思いましたね。