JINS、ウェアラブル端末が示唆する「新事業」 眼鏡屋と呼べなくなる日が来るかもしれない

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「JINS MEME」について説明するジェイアイエヌの田中仁社長。当面の販売数については「まるっきりわからない」と話す。

眼鏡というハード製品を売ってきた眼鏡店のビジネスモデルが、10年後には大きく変わっているかもしれない。格安メガネチェーン「JINS(ジンズ)」で一世を風靡したジェイアイエヌは14日、新商品「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を11月5日に発売すると発表した。

ジンズ・ミームは、視線の動きやまばたき、頭の動きなどを眼鏡が検知し、体の疲労や眠気などを測定することができる。昨年5月に製品を発表してから1年半。それまでの4年以上にわたる開発期間も含めて、ようやく発売にこぎつける格好だ。

価格に応じて2つの商品を発売

今回、もともと発表していた「ジンズ・ミーム ES」(3万9000円)に加えて、スポーツサングラスタイプの「ジンズ・ミーム MT」(1万9000円)を投入する。11月5日に東京・原宿に専門店をオープンするなど、まず国内の290店舗のうち、37店舗とオンラインストアで販売する。

「JINS MEME ES」では、連動アプリを使って「アタマ年齢」や「カラダ年齢」を測定できる。アプリは東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太教授が監修

ESには、JINSが独自開発した「3点式電位センサー」と呼ぶ視線の動きやまばたきなどを検知するセンサーと、ジャイロセンサーを搭載。これと連動するスマホ用アプリを使って、利用者が集中力や活力などに基づいた「アタマ年齢」や、姿勢や安定性などに基づいた「カラダ年齢」を計測したり、自動車運転中に眠気を図ったりすることができる。

「JINS MEME ES」(左)と「JINS MEME MT」(右)スポーツ分野での活用も期待されている

一方、ジャイロセンサーのみ搭載するMTでは、連動アプリ「JINS MEME RUN」を通じてランニングフォームを可視化。ブレのない、安定性の高いフォームを目指すのに使えるとしている。2016年1月には、体幹トレーニング向けアプリ「JINS MEME CORE TRAINING」も投入する計画だ(どちらのアプリも、ESでも使える)。

ジェイアイエヌはこのほか、音楽やエンターテインメントなどより幅広い分野で活用すべく、開発者向けにソフトウエア開発キットとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開。これまで、「相性診断アプリ」などいくつかの実験的なアプリが登場しているようだ。

ジンズ・ミームに対する、田中仁社長の期待は決して小さくない。「2010年にここで『JINS PC』を発表した際には、『さまざまな人が機能に応じた眼鏡をかけるようになることで、市場規模を1兆円にしたい』と話した(現在の眼鏡市場規模は約4800億円)。ミームも裾野を広げるキラーデバイスになると見ている」と意気込む。

ただし、ウェアラブル端末を囲む環境は、この1年半でずいぶん変わっている。

目的や機能などが異なるが、昨年5月時点で眼鏡型ウェアラブル端末の最先端と目されていた「グーグルグラス」は、2015年に個人向けの販売を終了。このほかにも、色々なメーカーが発売したり、開発に取りかかったりしているが、特に目立った眼鏡型端末が出てきているわけではない。一方、時計型についても「アップルウォッチ」がそれなりに販売先を広げるなど健闘しているが、普及期に入ったとは言えないだろう。

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