日本でも「スマホで納税」する日は来るのか

年末調整の煩わしさは省力化するしかない

日本でも納税の煩わしさから免れるため、さらに電子化が加速するかもしれない(写真:IYO / PIXTA)

6月19日に開催、筆者も委員として出席した政府税制調査会第10回総会では、納税実務をめぐる、近年の環境変化への対応に向けた海外調査の報告が行われた。調査対象国は報告順に、エストニア、スウェーデン、韓国、米国、カナダ、フランス、イギリスである。第10回総会の資料一覧には、各国の調査報告の資料を閲覧でき、納税実務や電子納税などについて豊富な情報が提供されている。

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この海外調査の焦点は納税実務に関するものだが、ICTの活用を含めた納税者利便の向上などに向けた取り組みと、シェアリングエコノミーなど新しい経済への対応を含めた制度の信頼向上に向けた取り組み、の2つに絞られている。前者は、わが国での電子納税の普及や年末調整の省力化につながる、各国の取り組みを調査することが狙いといえる。後者は、シェアリングエコノミーなど新しい経済の展開によって、今までは確定申告をしなくて済んでいた納税者が申告しなければならなくなったり、税制が想定していない取り引きにより納税を適切に行えなかったりすることに対し、どう備えればよいかを検討する材料にすることが狙いといえよう。

税制調査会では7カ国の調査を行ったが、第10回総会での海外調査報告の順番には、実は隠された意味がある。それは、行政が情報を網羅的に収集・調査可能にしつつ、行政手続きを電子化・簡素化する国から、行政が収集する情報はほどほどだが行政手続きの簡素化もほどほどという国へと、そういった順番になっている。あえて海外調査報告をエストニアから始めているといってよい。

行政手続きの電子化を徹底するエストニア

行政が情報を網羅的に収集しつつ、行政手続きの電子化・簡素化を徹底している国の代表格が、エストニアである。エストニアでは、1991年の独立以降、政府がさまざまな手続きの電子化を推進してきた。個人番号(日本でいうマイナンバー)とIDカードについて、15歳以上の国民は取得する義務がある。その結果、国民は個人番号を活用して、ポータルサイトから多様な行政サービスを利用できるようになっている。

エストニアでは、世界で初めて国単位の電子投票が行われたり、オンラインでチケットを購入すればIDカードをチケットとして代用できたり、担任以外も含む教師や親や生徒の間でサイトを通じ学校の成績や宿題などの情報を共有できたりする。確定申告は義務付けられており、納税者利便の向上のため、ポータルサイトからの税務申告や納税ができるようにしており、スマートフォン(スマホ)からでも手続きできるようになっている。もちろん、他者からの不適切な情報閲覧には、厳しい罰則がある。

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