小池百合子の「戦闘服」はこう計算されている あの"風呂敷スカーフ"にも意図がある

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4.スカーフや小物で懐柔

小池式、ともいえるのがスカーフ技だ。以前国会でも取り上げられたスカーフ、ストールの論争があった(アントニオ猪木議員の赤いストールvs.松島みどり議員のスカーフ事件)。それはそれとして、小池都知事はジャケットによくスカーフを巻いている。これによって、ジャケットの硬さを和らげている。

顔まわりにふんわりと巻くことによって、柔らかな表情をつくっている。彼女の会見でもわかるように、いきり立って話すことなく、相手に攻めたてられたときでも、ゆっくりとかみ砕くように話す。この技術ははたで見ていてもすごい。相手を攻撃的に攻めるというより、懐に入れようとする。この懐柔策にスカーフは一役買っていると思う。

ちなみに、蓮舫議員はやせた首筋がやたら目立つ。ときにはバブルの残り香を感じさせる襟立てスタイルで、相手に食ってかかるような場面では首の筋までいきり立っている。これでは人を引っ張る力にならない。この点では百合子戦法のほうがうわてだ。

第一印象を若々しく、効果的に見せる

5.アクセサリーで上半身を印象づける

小池氏の服装は軍地氏の新刊でも詳しく分析されている『小池百合子式 着こなしの黄金ルール』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

百合子スタイルのポイントは上半身、と話したが、これはキャスター時代にテレビ画面にどう自分が映るかを計算し尽くした人ならではだ。彼女はジャケットの下にデコルテ(首下)が見えるブラウスなどを合わせる。ここにワンポイント、ゴールドやパールのネックレスを必ず身につけている。これによって、ちょっと丸顔の彼女の顔のフレームがはっきりしてくる。ときには、ジャケットのラペル(襟)部分にブローチをつけたり。60歳を過ぎると多くの人は顔色がくすんでくるが、それをうまくカバーしているように思える。第一印象を若々しく、効果的に見せるテクニックといえる。

以上、彼女の服装の特徴を見てきた。都知事就任以来、彼女の支持率はじわじわ下がっている。熱狂的に支持された最初の数カ月を経て、いま都民は彼女の政治的能力をじっくり見極めようとしているようだ。

彼女のファッションは確かに選挙やパブリックイメージをつくる場面ではとても有効であった。少なくとも、あのダボついた古いスーツを着た舛添要一氏がオリンピックの顔にならなくてよかった、と思っている都民も多いと思うが、はたして小池氏がどこまで支持を持続させられるか。

小池都知事が今回の都議会選挙で、どう立ち回るか。服装だけでなく、その中身が問われている。

軍地 彩弓 編集者

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ぐんじ さゆみ

大学在学中から講談社の『Checkmate』でライターのキャリアをスタート。卒業と同時に『ViVi』でフリーライターとして活動。その後、雑誌『GLAMOROUS』の立ち上げに尽力。2008年に現コンデナスト・ジャパンに入社。クリエイティブディレクターとして『VOGUE GIRL』の創刊と運営に携わる。2014年に自身の会社、株式会社gumi-gumiを設立。『Numéro TOKYO』のエディトリアルアドバイザー、ドラマ「ファーストクラス」のファッション監修、Netflixドラマ「Followers」のファッションスーパーバイザー、企業のコンサルティング、情報番組のコメンテーター等幅広く活躍。

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