「親がやらせたいこと」に潰される子どもたち 嫌々やり続けると自己実現できない人になる

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次は小学2年生の男の子・C君のお話です。生活科の授業でダンゴムシ採集をしたときのことです。ほとんどの子は2、3匹見つけるのがやっとでしたが、C君だけは数え切れないほど見つけて、その箱の中にはダンゴムシがうじゃうじゃいました。しかも、箱の中にはダンゴムシが好む湿り気のある土、枯れ葉、腐葉土、隠れ家になる朽ち木なども入れてありました。子どもたちは口々に「C君、すごい!」「ダンゴムシ博士だ」と言いました。

C君は、湿り気のあるところや枯れ葉の下を探すといいことなど、コツをみんなに教えてくれました。その後も、なかなか見つけられない子にはダンゴムシを分けてあげたり、卵を抱えたダンゴムシを見つけたり、卵からかえったばかりのダンゴムシの赤ちゃんを見つけたりなど、大活躍しました。

C君は日頃からダンゴムシに限らず虫が大好きで、いろいろな虫を自分で捕まえたり飼ったりしていました。お母さんとお父さんも一緒に虫探しをしたり飼育を手伝ったりなど、いっぱい応援してくれていました。図鑑、絵本、学習マンガなども買ってくれて、C君は好きなことをどんどん伸ばすことができたのです。虫の名前

C君は、この日以降みんなからダンゴムシ博士とか昆虫博士などと呼ばれるようになりました。これは彼にとってとてもうれしかったはずですし、自信にもなったと思います。それまでは、ちょっと孤立している雰囲気があり、子ども同士でケンカすることも多かったのですが、それ以降はほとんどなくなりました。係の仕事もサボりがちでしたが、ほかの子と協力して仕事ができるようにもなりました。つまり、みんなが自分を博士として認めてくれたので心を開くことができるようになったのです。

子どもを応援してあげることの大切さ

ここまで3つの実例を紹介しました。私は、ほかにもいろいろな実例を見てきましたが、子ども自身が好きなこと、やりたがっていることを親が応援してあげることは本当に大切です。親が応援してくれると、子どもは毎日自分がやりたいことをたっぷりやれて、楽しい気持ちで生き生きと生活できるようになります。やりたいことを応援してくれて、褒めてくれる親のことが大好きになり、親子関係がよくなります。また、気持ちが満たされているので、兄弟や友達にも優しく親切に接することができるようになります。

親の応援があれば、子どもは好きな道をどんどん深めることができます。すると、「これは自信がある。これなら誰にも負けない」と思えるようになり、自己肯定感が大いに高まります。それによって、ほかのことでも「できる。頑張れる」と思えるようになり、苦手なことが改善することもあります。Aさんのように、朝、自分で起きられるようになったり、発表ができるようになったりすることもありますし、C君のように友達とケンカすることが減ったり協力して係の仕事ができるようになったりすることもあるのです。

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