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異色対談!「村上世彰氏vs伊藤邦雄教授」 ROE8%以上達成で日本を変えろ

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――実際の投資でROEをどう活用するのでしょうか。

村上:ROEの水準そのものよりも、ROEが今後どうなっていくか。その変化率を分析する。稼ぐ力でRをどう伸ばしていけるか、意味のないEをどこまで減らせるかが主な注目点だ。

伊藤:会計数値というのは言うまでもなく過去情報。過去は過去でしかない。ただ、経路依存性というものがある。過去の上に今があり、今の先に将来がある。5月29日に経産省から公表した略称「価値協創ガイダンス」は、過去と現在と将来のリンケージ(結びつき)を強く意識した「対話」の着眼点を示したものだ。持続可能性を意識しながら、経営者は投資家とどう対話すべきか。その留意点が盛られている。

――「持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」が発表した「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス-ESG・非財務情報と無形資産投資-」ですね。伊藤先生が座長でした。

伊藤:研究会のメンバーは「伊藤レポート2.0」という意識で議論を詰めてきた。企業価値の成長因子が機械設備などバランスシートに載る有形資産から人材・ブランドなどバランスシートに載らない無形資産に移ってきていることを意識。ESG(Environment〈環境〉・Social〈社会〉・Governance〈ガバナンス〉の頭文字を取ったもの)など非財務情報を重視。いわばCSR報告書を見ながら将来ROEを予測するような考え方だ。

どんなことにも潜在的な毒というものはつきものだ。ROEを追い求めるあまり、稼ぐ力をつけずにEばかり減らすことになりかねない。逆にESGを言いすぎると、資本生産性が低いことの隠れみのになりかねない。ROEもESGも両方大事という意味で「これからはROESGだ」と言っている。すると、多くの企業は「それはそうだ」と賛同してくれる。

「どんなことにも潜在的な毒というものはつきものだ」(撮影:梅谷秀司)

村上ファンドの動きも、ある意味では早すぎた

――伊藤先生は、資本コストやガバナンスの重要性を四半世紀前に指摘していました。

伊藤:1993年刊行の『通産研究レビュー』創刊号(通産省・通産研究所編集)に資本コストの実証研究論文を掲載したが、日本企業のリアリティがなかなかついてこなかった。村上さんは先見性を持ってコーポレートガバナンスの確立に取り組んできたが、今から思うと村上ファンドの動きも、ある意味では早すぎた。

村上:日本企業にガバナンスを普及するために、優秀な社外取締役をプールする仕組みを作るべきではないか。私が推薦すると「お前のところの手下だろ」と言われるのがすごくしゃくだ。

伊藤:なるほど。

村上:そういう仕組みができるなら私は寄付をしてもいいと思っている。コーポレートガバナンスの普及活動をNPO(非営利組織)として作るなら、私はいくらでも社会貢献したい。

伊藤:それはとてもいい考えですね。

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