コンプレックス男が劇的に人生を変えた理由

医療福祉のエンタメに求める答えがあった

謙遜や装い、使命感に追い立てられる感じのないストレートな自嘲。ざっくばらんに内面を話してくれる予感がした。

岡勇樹氏

岡氏が生まれたのは1981年。ポスト団塊ジュニア……というより、米国の枠組みでジェネレーションY、もしくはミレニアル世代ととらえたほうがいいかもしれない。生まれたのは東京都国立市だったが、商社マンだった父の仕事の関係で3歳にはサンフランシスコに移住し、11歳で帰国するまでそこで暮らしている。

「物心ついた頃にはあっちにいたので、当時は自分を日本人だとは思っていなかったですね。でも肌の色は黄色くて、嫌なやつにファッキンジャップみたいなことも言われたりして。ヒップホップを聞いて黒人格好いいなーと思ったりしていました」

帰国後に居場所ができたのは高校に入学してから。ハードコア・パンクに出合い、町田のライブハウスに入り浸っているうちに日本でも語り合える友人ができた。仲間と音楽に浸る生活は大学時代でも続いた。

「いろんな民族楽器を持ち寄って演奏したり躍ったりする『ウブドベ共和国』という団体を21歳のときにつくって。絵描きやカメラマンも参加して好き勝手やっていましたね。そういうセッションみたいなものがいちばん気持ちよくて好きなんですよ」

わが家で自分だけがイモだと思っていた

学生生活を謳歌しつつ、家族に対してはコンプレックスを抱いてもいた。兄はコンサルティング会社で活躍しており、やがてキャビンアテンダントになって世界中を飛び回る妹もいつも自分より優等生に見えた。父は社会で成功したあとに悠々自適の生活を送っている。

「みんなキラキラしていて、自分だけがちゃらんぽらんで。わが家で自分だけがイモだと思っていました」

その父から立派な職業人になるように何度促されても、やりたい仕事や働く意欲は浮かんでこなかった。生来からの楽観主義者で、昔からおカネがあればあるぶんだけ使ってしまう性分。安定した職業に就くこと、たくさんおカネを稼ぐこと、どちらも興味が持てなかった。

そんな岡氏が卒業後にリラクセーション企業に入社した背景には、母の死がある。大学2年のときにがんが見つかり、十数カ月の闘病の末に亡くなった。

「母親が入院していた頃ちょうど友達も就活を始めたりしていて、ちょっと焦るじゃないですか。それに『母ちゃんを安心させたい』みたいな気持ちも重なって」

リクルートスーツを調達し、手っ取り早く応募のあった企業に面接にいくと、就職氷河期のさなか、ものの1カ月で内定がとれた。

「でも、就職が決まって報告しても喜んでくれなかったんですよ。一応、おめでとうとは言ってくれましたけど。たぶん『そんな適当に選んだ仕事じゃ、アンタ続かないわよ』と言いたかったんじゃないかな」

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