「フィンテックなのに地銀店舗が増加」のナゾ 来店客は激減、地方銀行はどう生き残るのか

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なぜ銀行にお客が来ないのか。インターネットバンキングの普及やコンビニの料金支払いを考えれば、自然な流れである。さらに昨今のいわゆるフィンテックの発達でこのような銀行店舗離れはいっそう加速するとみられる。

例えば百五銀行は、最近新たな公共料金の振り込みシステムを銀行として初めて導入した。携帯で公共料金などの情報が入ったバーコードを読み取ったら、そのまま料金が銀行の口座から引き落とされる。これを使えば、銀行にもコンビニにも行かなくて済む。

お金を借りるにも、新生銀行や楽天銀行のように来店は不要としているものもある。

また、固定的な店舗ではなく、移動型のATMを導入する動きも出始めた。京都銀行や大垣共立銀行では、店舗のない地域に、移動型店舗で銀行サービスを行う。もともと被災地などで用いられたが、ほかの地方銀行でも導入が始まっている。サービスの提供を続けながら、店舗は減らすことができる。同様のサービスは海外でもみられる。インドでは、昨年11月の通貨切り替え時に銀行の行列を緩和するのに「ATMバス」が活躍した。

県外では出店で攻勢かける「仁義なき戦い」

一方県外の店舗は増えている。この背景は何か。

2017年3月末までの1年間で、預金は31兆円も増えたが、貸出は11兆円の増加にとどまった。余剰資金は拡大し、貸出競争激化による貸出金利低下の流れは止まらない。マイナス金利の影響を前期で吸収したにも関わらず、今年度(2018年3月期)は、東証銀行指数を構成する銘柄86行のうち、7割以上の64行が減益を予想する。うち21行は前期実績と今期の2期連続で2桁減益という予想だ。

何とか貸出をもっと増やしたい。しかし、各都道府県における第一地銀の貸出シェアはこの10年でじりじりと増加し、7割の都道府県で5割を超える(2016年3月末時点)。地元の人口も事業者数も減少傾向であるのに、シェアがこれだけ高くなってしまっている。満を持して参入したアパートローンもカードローンも当局などから注意を促されている。このため、他県に活路を見出さざるを得ない。

例えば関東では、近隣県から東京都内への攻勢が激しい。千葉銀行は、東京都内の品川、恵比寿、池袋の新拠点で、過去2年間で636億円も貸出を伸ばしている。迎え撃つ都市銀行の都内での貸出シェアは、過去10年で5.1ポイント低下した。

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