米長期金利が緩やかに上昇なら1ドル118円に

長期金利が足元で上がらない理由は?

FRBが利上げをしても長期金利は上がらず、株高が続く(写真:AP/アフロ)

6月13、14日に行われたFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、0.25%の利上げが決定された。経済見通しは、失業率の予想が若干下方修正された(今後改善するとの見通し)以外に目立った変化は見られず、FOMCメンバーによる政策金利見通しも、前回3月に公表されたものから大きな変化はなかった。

ただ、注目したいポイントは今回、FRB(米国連邦準備制度理事会)が現在実施している債券の「再投資政策」の見直しについて、具体的なプランが示されたことだ。2008年のリーマンショック以降、FRBが量的緩和を拡大し債券購入を増やしていく中で、FRBの国債やMBS(住宅ローン担保証券)の保有残高は、それまでの約0.9兆ドルから、4.5兆ドルにまで膨れ上がった。これらの債券は満期を迎えていくが、FRBはこれまで量的緩和を維持するために、償還された分の再投資を行って残高を維持してきた。この再投資を将来終了するための具体的な方針が示されたのである。

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また、イエレン議長の記者会見ではインフレ率が低下していることについて質問が集まったが、インフレ率の低下はあくまで「携帯電話の通信料引き下げや処方箋薬の価格低下などの特殊要因によるもの」であり、「一時的」な現象にすぎないとのスタンスを崩さなかった。

FRBはややタカ派的、だが長期金利は低下

このように、(1)FOMCの経済見通しが最近の経済指標の弱含みにもかかわらず楽観的であること、(2)債券の「再投資政策」見直しの具体策公表、(3)イエレン議長のインフレに対する見解、などを含めれば、今回のFOMCはややタカ派的(インフレ警戒型)な内容であったといえよう。

ところが、市場の反応としては、米長期金利はむしろ低下し、米10年債利回りが一時2.1%をつける場面も見られた。こうした中、NYダウは史上最高値を更新し、市場の不安心理を示すVIX(恐怖指数。市場のボラティリティを示す)は10.6と、通常のレンジである10〜20の下限に張り付いている。市場は明らかに「リスクオン」の状態にあるのだ。

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