「医者が監修するレストラン」は何が違うのか ステーキにはNZ産の完全放牧牧草牛を使用

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医師が監修することから始まり、いくつかのコンセプトが挙げられているが、中でも画期的なのが「おのおのの医師が研究に基づき、それぞれ持っているセオリーを発信していく場」「顔や体型が異なるように、体質も違う。体質やニーズに合った食事を発見できる場」と位置づけられていることだ。つまり、絶対的に正しい食事法というものはなく、自分に合うものを、自分で探していくことが重要とされている。同店は、そのための情報収集や、専門家のサポートが得られる場所である、と考えることができる。

レストランでは料理の提供のほか、セミナーなどの情報提供の機会も定期的に設ける。たとえば「健康長命長寿を目指す」「仕事のパフォーマンスを上げる」など、テーマを設けて、セミナーや食事会が開催される。6月11日に開催された第1回目のセミナーは、柳澤氏とオーガニック野菜生産者の座談会が行われ、受講者で満席となったそうだ。今後も毎月第1日曜日の開催が予定されており、ホームページから申し込みができる。

では5月29日のオープン以後、一般の反響はどうだろうか。広報担当者によると、現時点で、ランチは50人程度、ディナーは20人程度とのことだ。席数が50とあるので、ディナータイムはもう少し欲しいところかもしれない。やはり平均予算にしてランチ1500円、ディナーが7000円と価格帯がやや高めなこともあるだろう。

「ランチは近くにお勤めのサラリーマンやOLが多いのですが、ディナーは、メディアをご覧になったマダムや、美意識の高い女性などが来られます」(医学会キッチン・浅野まり氏)とのことだ。

「牧草牛のビーフステーキプレート」1500円(写真提供:医学会キッチン)

人気の料理は、ランチメニューの「牧草牛のビーフステーキプレート」(1500円)や、「天使のエビ&ココナッツレッドカレー」(1300円)だという。ステーキは、ニュージーランドの完全放牧牧草牛を使用。

「オメガ3脂肪酸が豊富で“丘の魚”とも言われます。自然な環境で牧草のみを食べ、運動量も多いため、低脂肪、低悪玉コレステロール。また無農薬の大根を皮ごとおろしたものを添えています。消化吸収を助ける酵素が豊富なのです」(浅野氏)。

ステーキにはさらに発芽発酵玄米、ミニサラダが添えられ、いかにも健康によさそうだ。ココナッツレッドカレーは、ニューカレドニアで添加物を使わず養殖されたえびや、スリランカ産のこれも完全にオーガニック無添加のココナッツからつくられたココナッツミルク、オイルを使用している。

食材の「育った環境」にもこだわる

これらを見てもわかるように、できるだけ無農薬やノンケミカルの食材を選ぶのも同店のコンセプトのひとつだ。食材の育った環境や食べているものや出荷までの過程も考慮されている。

本当に安心・安全なものを外食で味わおうと思うと、まず店の選択からして難しいし、大抵高くつく。また、低品質なものに味覚が慣れてしまうと、自然で健康的な食材のおいしさに、なかなか気づくことができなくなる。安心・安全な味をまず体験するという意味で、同店を利用してみるのもよいかもしれない。ランチなら1500円と気軽に出費できる範囲なので、ランチタイムに同店を満席にしている客の中にも、そのような観点で訪れている人はいるだろう。「今度はディナーで来てみたい」と思わせるかどうかが、同店が本格的に展開できるかどうかのカギとなる。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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