東京随一の「名物商店街」を襲う変化の荒波 タワマン街化を選んだ武蔵小山の未来
武蔵小山の隣駅、西小山駅周辺の半径2キロメートル圏内の情報を発信している「西小山編集室」の梶田裕美子氏によると「東日本大震災後、自分がやりたいことをやろうと、小商いを始める人が増えましたが、そうした人たちが希望するのは坪単価1万円くらいで10坪、つまり、家賃10万円くらいで借りられる物件です。
西小山でも駅周辺だと3万円を超える比較的高額な物件がありますが、少し離れるとその予算でもなんとかなる。そこで個人店ができ始め、さらに店同士が連携してイベントを開くなどの動きが出始めています」という。
食べログでトップ5000にランクインする複数の店、わずか2坪の目黒区初クラフトビール醸造所、古民家を改装したギャラリー兼カフェや、セレクトショップ、書籍も出しているヴィーガン(肉・魚を含む動物性の食材を一切とらない)食堂など、わざわざ行ってみたくなる店が多い。実際、訪ねてみると、そこにしかないものがあり、店主との会話がある。多少不便な立地でも、そうした店になら人は集まるのだ。
西小山にもタワマン計画
だが、その西小山駅前にもなんと再開発の予定がある。西小山駅の目黒区側、原町一丁目、洗足一丁目、目黒本町五丁目エリアは現在、東京都が解消しようとしている木密地域(木造住宅密集地域)のひとつ。目黒区が開発事業者、街づくり協議会に示した案によると、西小山駅前の商店街を全部潰して4棟のタワーを建てる計画だ。
防災上、危険がないとは言わないが、道幅は狭いものの、古い木造住宅がそれほど多いわけではないという印象だ。それに、武蔵小山は急行停車駅だが、西小山は各停しか止まらない。武蔵小山のタワー2棟が2020年竣工であることを考えると、西小山の4棟を含む残り最大7棟が売り出されるのは東京五輪以降になる。湾岸の選手村と同じタイミングの販売になる可能性もあり、さて、それで売れるか。
武蔵小山はすでに再開発に舵を切ってしまっているから致し方ないが、まだ間に合う西小山は、隣がやるからウチも的な横並び意識で開発を促進せず、独自路線を行っていただきたいもの。そうすれば六本木と麻布十番がそれぞれの違いを生かして共存しているがごとく、武蔵小山と西小山が連携、住んで楽しい地域として生き残っていく可能性が出てくるかもしれない。
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