大変身した新型iPadProは「買い」なのか

ようやくファイルマネージャを搭載

およそ7年半前、2010年1月に初代iPadが発表された際、当時のCEOだったスティーブ・ジョブズ氏はiPadをウェブサービスにシンプルにアクセスするための窓として紹介した。

当時の環境を思い出してほしい。当時はマイクロソフトのWindowsプラットフォームには、新興国市場向けに企画されたNetbookという名称のカテゴリがあった。Netbookは、先進国においても「廉価なウェブサービスアクセス端末」と解釈され、販売数を伸ばしていた。

廉価にパソコンの基本機能を実現するため、マイクロソフトが特別に安価に設定したWindowsライセンスと低価格な半導体セットを組み合わせることでNetbookというジャンルが誕生したともいえる。クラウドコンピューティングの勃興で充実し始めていたネットサービスへのアクセスに特化した端末とはいえ、まがりなりにもフルセットのWindowsが動作する。いわば、「低価格で遅いパソコン」だった。

iPadはNetbookへのアンチテーゼだった

iPadは、そのNetbookへのアンチテーゼだった。iPhoneで完成させつつあったアプリケーション構築の枠組みを大きな画面に持ち込んだのだ。アプリは利用シナリオを固定される傾向が高いものの、決まった作業に対しては手早く解りやすい。iOSならではの価値を創造したといえる。

iPad本来の位置づけを越えて”パソコンの領域”にグッと近付く製品といえる(筆者撮影)

当時、ジョブズ氏が話していた「正解は(Netbookではなく)iPadだ」という言葉は、単に性能の低いノートパソコンを安価に売ってもイノベーションにはならないことを示したものだった。

しかし、iPadには欠点がある。iPhoneと同様、利用シナリオごとに”アプリ”で実装するスタイルのiPadでは、高性能化を進めてもパソコンほどの高い作業性は得られないのも自明なのである。近年のiPadは、企業や特定業務向けなど法人ユースでは伸びているものの、個人向け製品としては伸び悩んでいた。

そこで昨年発表したiPad Proではキーボード機能付きのカバーを用意。画面を分割して二つのアプリケーションを同時に操作する機能などを追加してパソコンの領域へと近づけ、さらに12.9インチの大画面版を用意。ハードウェアキーボードも揃えた。とはいえ、目指す目標までは届かず”道半ば”の印象があった。

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