「美容医療」のトラブルが一向に絶えないワケ 法規制の抜け穴が強引な契約をのさばらせる

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すでに法の規制があるエステにおいても、脱毛や痩身といったサービスのほかに化粧品などの商品を購入させられることも多いが、クーリングオフの場面では何かと問題となってきた。

サービスの契約と合わせて化粧品も同時にクーリングオフできるが、化粧品は未使用の場合に限られる。業者側は「お試しに」などとその場で使わせてしまい、あとになって「もう使ってしまったものはクーリングオフできません」などと言い出すこともある。

結論から言えば、業者がお試しで使わせたような場合についてはクーリングオフが可能なのだが、このあたりは知識がなければ、業者から押しきられてしまうこともあるので注意が必要になるだろう。

改正案でクーリングオフの対象になるのは

もちろん、法律の改正が予定されているからといって、すべての契約がクーリングオフの対象となるわけではない。改正案を見ると、たとえば保護の対象となるのは契約期間が1カ月以上の長期に及ぶものに限られ、1回限りの整形手術などは対象外だ。

美容医療をめぐるトラブル事例の中には、数百万円にものぼる高額な手術費用をめぐるものもあるが、このようなケースでは今回の改正案でも保護が及ばない可能性が高い。検討されている法律の改正案でも、美容医療のうち保護の対象とされるのは一部の契約のみとなりそうだ。

消費者トラブルは法律知識の差が原因となる場合が多数ある。エステ店から美容医院を紹介された客のほとんどは解約に関する法律の違いを知らなかったのではないか。事業者との情報量格差を埋めて消費者保護を図るために法律はあるのだが、そもそも法律を知らなければトラブルへの対応すらできない。

美容医療はケガや病気と違って急いで受けなければいけないものではないはずだ。高額なサービスを契約する際には施術の内容や料金などしっかりと下調べをすることで、トラブルを少しでも回避できるよう、事前準備を欠かさない姿勢が大切となる。

及川 修平 司法書士

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おいかわ しゅうへい / Syuhei Oikawa

24歳の時に司法書士登録し開業。開業当初より、成年後見制度を利用し、認知症などで判断能力が低下した方のための支援を行ってきた。成年後見人としての業務を行う中で、現在、ニュースでも取り上げられている認知症患者の徘徊の問題にも向き合っている。
 

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