5月の米非農業部門雇用増13.8万人に減速 失業率は4.3%、16年ぶりの低水準
[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が発表した5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が13万8000人増と、伸びは前月から減速するとともに、市場予想の18万5000人増を下回った。
失業率は16年ぶりの低水準に改善したが、雇用者数は過去2カ月分も下方修正され、労働市場が失速している兆候が示された。
雇用の伸びが控えめにとどまったことで、景気加速が難しくなるとの懸念も広がる恐れがある。
製造業、政府、小売りで雇用が減少した。
3、4月分の雇用者数は当初発表より6万6000人少なかった。
5月雇用者数の伸びは、過去1年間の平均(月18万1000人)から急速に鈍化した。労働市場が完全雇用に近づく中、雇用の伸びが鈍りつつある。ただ、今回の統計は月内の利上げを引き続き後押しする可能性がある。
CMEのフェドウォッチによると、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で25ベーシスポイント(bp)の利上げを行う可能性を、米金融市場はほぼ織り込んでいる。
失業率は0.1%ポイント低下の4.3%と、2001年5月以来の水準。市場予想は横ばいの4.4%だった。
賃金の伸びはなお低迷している。時間当たり賃金は前月比0.04ドル(0.2%)増、前年同月比では2.5%増えた。賃金の伸びが弱い状況が続き、一段の金融政策引き締めに影を落とす可能性もある。
その一方で、労働市場は年内に完全雇用を達成するとみられ、賃金の伸びが加速するといった楽観的な見方も出ている。
縁辺労働者や正社員を希望しながらパートタイムで就業している人を加えたより広義のU6失業率は8.4%と、前月の8.6%から低下し、2007年11月以来の低水準を付けた。
通常の失業率とU6失業率の差は労働市場のスラック(需給の緩み)の規模を推し量る指標と見なされているが、5月は差は2008年初旬以来の水準に縮小した。
労働参加率は0.2%ポイント低下の62.7%。特に変動が大きい年齢層16─24歳の労働参加率が低下した。
アバディーン・アセット・マネジメントのシニアエコノミスト、ポール・ディグル氏は「低調な雇用増は、人口の伸びに引き続き追いついており、災難とは言えない」と指摘。「今回の統計を受けても、FRBは今月、利上げを見送ることはないだろう。ただその後の動きに影響が出るとみている」と話した。
JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「今回の統計が発するメッセージはそれほど明白ではなかったものの、全般的に労働市場が引き締まりつつあることを示しており、FRBはこれに対応し続ける必要がある」と指摘。「FRBが今月の会合で利上げを決定する公算は非常に高いとの見方に変わりはなく、その後の利上げをめぐる示唆が今回の会合の焦点となっている」と述べた。
業種別では、製造業が1000人減った。販売が落ち込む中、自動車が1500人のマイナスとなった。
建設は1万1000人増。小売りは6100人減と、4カ月連続のマイナス。
政府は9000人減った。
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