宝島社はなぜ、出版不況でも稼げるのか? 出版社であり、メーカーでもある会社

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――宝島社は、絶妙な付録戦略により販売部数を伸ばしていますが、広告面についてはどうですか?

広告はスポンサーに決定権があり、われわれが主体的に動いても限界があります。ただ、スポンサーが必要な読者をきっちり囲っている雑誌であれば、スポンサーは来てくれると思っています。

たとえば、宝島社の雑誌で言うと、『リンネル』(ナチュラル系のファッション、ライフスタイル情報を掲載)が今非常に伸びています。この雑誌は、単にある年代に強いだけでなく、ひとつのライフスタイルを切り取った読者を持っていることが、スポンサーにとっての魅力になっています。

ほかに、30代女性誌の『InRed(インレッド)』にしても、「30代のどういう女性を捕まえているか」を明確にしています。そこに情報を流したいというスポンサー必ずいるはずです。

――ファッション誌は、収入に占める広告収入の割合が高い傾向がありますが、宝島社の場合はどうですか?

販売売上げのほうが、圧倒的に高いです。部数がすごく少ない雑誌においては、広告売上げのほうが高くなるケースもありますが、基本的には部数を追求しています。

――部数ナンバーワンにこだわる理由は?

雑誌の中には、部数はさほどないけれども、非常に熱心な読者がいて広告も入るというケースもありますし、そうしたビジネスモデルもわからなくはありません。ただ、一度それを始めてしまうと、雑誌は生き物ですから、どこか非常に脆弱になってしまいます。

――あんまりニッチを追いすぎてはいけない?

そうですね。ニッチを追いすぎて、部数を追求する努力を止めてしまうと、だんだん雑誌の活力が失われてしまう。やはり部数を追うという意識があるからこそ、コンテンツは磨かれていくのだと思います。

(撮影:尾形文繁)

 ※ 続きは8月16日に掲載します

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