宝島社はなぜ、出版不況でも稼げるのか? 出版社であり、メーカーでもある会社
編集者がデザイン、工場選びまで担当
ここで、宝島社の付録戦略について説明しておこう。
同社の雑誌にはすべてブランドアイテム付録がついている。付録のほかにも、ブランドムックと呼ばれる商品もある。
これらの付録やブランドムックは、ブランド側がスポンサーとなって作成を依頼しているわけではない。起点はあくまで編集部だ。商品選び、デザイン、素材の選択から、工場での製造まで、すべてを宝島の編集者が担当。宝島社の社員は、半分メーカーの社員のようなものである。
付録作成の予算も、ブランド側に頼らず、雑誌の販売収入と広告収入から賄っている。そうすることで、編集者は、スポンサーの意向に左右されすぎることなく、「これは読者に受ける」と思える付録を打ち出すことができる。
そして、編集部から生まれた付録企画をブランド側に持ち込み、コラボしてくれるブランドを探していくという流れだ。ブランド側としては、自社のロゴ、ブランドを冠した商品が数十万人の読者に届けば、またとないPRになるし、新規顧客の発掘にもつながる。
こうした付録作りを、2002年から10年以上続けているため、宝島社には、モノ作りのノウハウがため込まれている。デザインや布に関する知識、製造工場のネットワークはもちろん、付録の商品力に応じて、刷り部数、価格を変える精度も磨かれている。
メディアでありながら、“モノ作り”を強みにする点は、手帳などの物販で稼ぐ「ほぼ日刊イトイ新聞」と共通している。