英国中堅アパレルがこぞって日本を狙うワケ

日本の大手アパレルにはない強みとは

その後、1年半をかけて会社を再編し、デザイン部門のチーフ・クリエーティブ・ディレクターに、元アーティストのウィル・ビードルを起用。2012年10月には、オールセインツの新CEOに、グッチグループ(現ケリンググループ)や、バーバリーでデジタル部門やリテール部門の役職を歴任したウィリアム・キム氏を指名した。

そこからの快進撃は、すさまじいものがある。現在は26カ国で230店舗を運営。日本では、2015年9月にオールセインツ・ジャパンを設立し、2016年から満を持して事業展開を開始した。

現在のEC化比率は2割超

オールセインツのキムCEO

キムCEOが主導するオールセインツの最大の特徴は「重要な作業のほとんどを内製化していること」にある。各国の店舗は100%直営で、商品はもちろん、内装、音楽、ウェブサイトの主要な作業を、外注に頼らず自社でコントロールしている。

キムCEOの就任前は16カ所あった生産管理拠点を、4カ所に集約。年間数百万枚にも及ぶ商品のデザイン・生産は、40人のデザインチームと100人の生産管理チームが直接コントロールしている。デザインにしても生産にしても、商社やOEM会社などが複雑に入り込んでいるのがつねのアパレルの生産現場において、これは極めて異例なことである。

テクノロジーを駆使したビジネスモデルも特徴のひとつだ。特に同業他社と比べて抜きん出ているのが、ECサイトの使いやすさ。海外ブランドのほとんどは本国サイトの翻訳版だが、同社は日本のニーズに合わせたウェブサイトを一から構築している。現在のグローバルのEC化率は20%超で、日本も立ち上がったばかりにもかかわらず高い水準で推移しているという。

テクノロジーの活用は、社内の意思疎通にも及んでいる。社内のコミュニケーションツールは、メールではなく「グーグルプラス」を利用。世界中の社員が、肩書や立場に関係なく、意見を交わせるようにしているのだ。「形式的なメールはもはや時代遅れ。社内の透明性や仕事の効率を高めるには、オープンなコミュニケーションが必要なんだ」とキムCEOは話す。そんなオープンな企業体質が評価され、世界最大級のビジネス特化型SNS、リンクトインの2015年の調査では、イギリスでもっとも働きたい企業トップ50に選出された。

テッドベーカーも、イギリス発のグローバル・ライフスタイルブランドとして、着々と成長を続けている企業だ。2017年1月期の売上高は5.3億ポンド(約769億円、前年比16.4%増)、営業利益は6580万ポンド(約95億円、同12.1%増)。現在、世界で183店舗を展開している。

テッドベーカーはなんとも風変わりでミステリアスなブランドだ。創業者のレイ・ケルビン氏は、1988年にオーダーシャツの専門店としてテッドベーカーをスタート。「テッドベーカー」とは架空の人物で、ケルビン氏は「テッドの最も親しい友人」として彼の言葉を代弁する立場にある、という設定だ。ケルビン氏自身も表に出ることは少なく、メディアには顔を公表していない。

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