4人以上の場で「会話が苦手」になる人の必然 脳の処理能力に大きな原因がある
そしてしばらくすると、既読スルーする人が1人、2人出てくる……そんな傾向があるように思います。
このように、「連絡・伝達」というコミュニケーションにおいても、「3人」と「4人」の間には大きな壁があり、4人になった瞬間、コミュニケーションをとるのが脳からすると「大変な作業」になってしまうわけです。
集団感が生まれるのは、「4人」から
実際、マーケターとして商品の評判を調査するため集団インタビューをするときも、集まってもらう人数が「3人」までだとみなさんディスカッションでもスムーズに発言されるのですが、「4人」になった瞬間、必ず沈黙しがちな人がちらほら登場します。
これは個別に聞いての感覚知ではありますが、やはり「複数が苦手」という人の大勢が「3人までなら何とかなっても、4人になると結構しんどい」と打ち明けられます。
また、3人までだと一緒に話したり行動したりするのに、4人になるとしれっと2人ずつに分かれるようなケースも多いと思います。
これは、脳が「処理しやすいように持ち込もう」と考えることに原因があり、「3人までだと処理できるけれど、4人になると処理が追いつかないので、処理しやすいよう少人数に持ち込もう」と脳は考えるのです。
商品陳列も、「4列」にすると売り上げが落ちる
3000億の行動を分析してきて、「人間の行動には大体傾向がある」ことがわかり、「3人までなら話せても、4人だと話しづらい」という苦手意識も、多くの人に当てはまる傾向だと研究でわかりました。
この「3と4に脳の処理能力の壁がある」ことを確信したある経験があります。
商品というのは1列に置くよりも2列、2列で並べるよりも3列で陳列したほうが売り上げは1.2倍ずつ伸びます。
ある調味料のテスト販売をすることになり、いくつかの店舗で「3列で陳列」することになったのですが、売り上げが順調に伸びていくなか、ある店舗だけ売り上げが思うように伸びませんでした。
調べたところ、ほかの店舗と違っていたのは、手違いで4列並べていた点のみ。首をかしげつつも商品陳列を3列に戻したところ、売り上げがほかの店舗と同じように伸びていったのです。
この現象は牛乳パックなど、ほかの商品でも起きることがのちの調査でわかりました。
1列よりは2列、2列よりは3列並べるほうが売り上げは伸びますが、4列になった途端、売り上げは想定より落ちてしまう――。このスーパーでの商品陳列の経験と、日常に潜む「3と4の違い」から、どうやら「3と4の間にこそ脳の処理能力の壁は存在する」ということを確信しました。
そう、多くの人は「4人以上」が苦手で、複数になると話しづらくなるというのは「ホモサピエンスにはよくあること」だったのです。
人間の脳は、多くのケース、デフォルトのままだと「3」までに耐えられる設計で、「複数が苦手」というのは脳のシステム上、人類共通の悩みなのではと考えています。
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