堀江貴文氏「多動力こそが最も重要な能力だ」 「1つの仕事をコツコツと」では負け組になる

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たとえば、テレビとインターネットがつながると、テレビはスマホアプリの1つになり、電話やフェイスブックと同じレイヤーで競争することになる。フジテレビのライバルは日本テレビではなく、恋人からのLINEになるのだ。

また自動車がインターネットにつながり、自動運転が進めば、もはや自動車の形である必要はなくて、ただの移動するイスになるかもしれない。そのとき、自動車業界もインテリア業界もタテの壁はなくなる。あらゆる産業のタテの壁が溶けていけば、今までの経験や肩書きは通用しなくなる。

この、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく「越境者」だ。そして、「越境者」に最も必要な能力が、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる「多動力」なのだ。

学校教育で教え込まれた“洗脳”を解かないといけない

「多動力」を身に付けるには、学校教育から教え込まれてきた、一種の“洗脳”を解かないといけない。

以前、ツイッターで「寿司職人が何年も修業するのはバカ」と投稿したら大炎上した。しかし、僕は未来のある若者が卵焼きを作るのに何年もの無駄な時間を費やすのを見ていられない。

情報伝達手段が限られていた時代には、おいしい酢飯をどうやって作ればいいのか素人にはわからなかったし、魚のうまさを最大限引き出す包丁の使い方はプロのみぞ知る専売特許だった。

貴重な情報を持つ親方に弟子入りし、下積みの苦労にひたすら耐えることでしか、それらの伝統技術や情報を引き継ぐことはかなわなかった。しかし、もはやそんな時代ではない。

現に、大阪の「鮨 千陽」の土田秀信店長は迂遠な修業は積んでいない。専門学校で3カ月寿司作りを学んだだけだ。その「鮨 千陽」が『ミシュランガイド京都・大阪2016』で「ビブグルマン」部門に選ばれた。開店からたった11カ月目の出来事であった。つまり、一流店になるための情報や技術などは専門学校でちゃちゃっと身につけてしまうことができるのだ。

インターネット出現前は特定の人間だけが技術や情報を独占し、それこそが価値だった。

しかし、インターネットの時代では「オープンイノベーション」が前提となる。たとえば、誰かが新しいプログラムコードやツールを作ったのならば、それは公開してしまって、みんなで改良したり、新しい組み合わせを考えたりして、さらに新しいものを作るというのが「オープンイノベーション」だ。

これからは旧態依然とした業界に「オープンイノベーション」の波が来て、情報それ自体の価値はなくなる。

そんな時代には、「石の上で3年我慢できたら次の仕事を教えてやる」などと言う親方のもとで働いていては貴重な時間が失われるだけで、とにかくチャレンジしようという行動力とアイデアを進化させる力が求められる。

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