眠らぬ巨獅子、人口の8倍呼び込む実力

《対決!世界の大空港1》シンガポール・チャンギ 

 実際、成田を見た後に訪れると、チャンギのすごさは際立つ。テレビ・エンタテインメントラウンジでニュースやドラマ、スポーツ中継などの番組を見る、ゲーム機(マイクロソフトのXbox)で遊ぶ、またターミナル内に設置されているマッサージチェアで横になるといった具合で、それぞれ無料。テレビやゲーム機はソファなどに座り、ゆったりとした気分で楽しめる。夜になるとライブ演奏も行われ、英語や中国語の歌などが生で楽しめる。

さらに、プールで泳いだり(約1000円)、マッサージ店で体をほぐしたり(20分から1、2時間とさまざまなコースを用意、45分コースで5600円)、映画館で映画を無料で楽しんだりと至れり尽くせり。各ターミナルのあちこちで約500カ所の無料インターネットが用意され、メール確認なども簡単にできた。

日本の空港では考えられないが、これらはほとんどが24時間営業。チャンギでは、深夜12時以降から早朝にかけて毎日100便近くが離着陸している。それだけに深夜・早朝でも人々の往来が絶えない。

乗り継ぎまでに5時間以上の待ち時間があれば無料の市内ツアーが用意されているのも驚きだ。2時間ほどのツアーが1日7回(深夜の設定はさすがにない)。出発時間によって3種類から選べ、主な名所を効率よく周遊できる。市街地まで車や電車で約30分と好立地なこともハブ空港の条件だと実感する。もちろん、このときの外国人のビザは不要だ。

ただ、いくら施設がすばらしくても接続利便性といった空港の基本能力が低ければ話にならない。この点でもチャンギは世界最強の座にある。たとえば、日本人観光客に人気が高いバリ島路線。成田からの直行便は1日2便しかないが、チャンギまで行けば、毎日5便と豊富だ。日本のビジネスマン需要が多いインドのデリー、ムンバイでは、チャンギ発着の路線数は成田に比べて3倍多い。

人気路線のロンドン、シドニーを見るとわかるのは、チャンギの接続の選択肢の多さだ。24時間稼働でなく、発着能力にも限界がある成田では、選択肢の余地が狭まるが、チャンギは、「来てもらえれば、後はいつでもどこでもつながっている」という絶大な安心感がある。

言うまでもなく、こうした基本能力の違いは、発着能力の違いでもある。チャンギは、今年1月にターミナル3が完成したことで、年間旅客数能力は2200万人増の約7000万人に拡大。実際の旅客数3500万人と比べると余裕は十分にある。だが、早くも第4ターミナル建設構想が持ち上がっている。東南アジア諸国連合(ASEAN)が今年末までの首都間航空路線の自由開放(オープンスカイ)で合意したことを受け、これによる域内のヒト・モノの移動拡大を見据えた対策だ。

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