スーパーIT灘高生が、大好きな日本を救う 新世代リーダー Tehu スーパーIT灘高生

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おしゃべりとラジオが好きなTehu君は、中学3年生の時にユーストリームで「Tehuのオールナイトニホン」の放送を始める。自分で“冠番組”を持ち、パーソナリティーになったわけだ。

「どうせやるならたくさんの視聴者に見てもらいたい」。以前から米アップルの新製品記者発表があると、IT仲間の5、6人にスカイプを使って英語を日本語に同時通訳しながら解説してあげていた。それが仲間内で好評だったので、自分の番組で放送してみようと思いつく。

目論見は当たった。2010年、iPadが出た直後、iPhoneOS4の名前がiOS4に変わった時の記者発表を同時通訳すると、アメリカ時間に合わせた深夜2時からの生放送にもかかわらず、6000人が視聴してくれた。

さらに「この同時通訳、中学生がやっているらしいぞ。スゲー」とツイッターで口コミが広がり、視聴者が増えていった。これまで通算20回放送したなかで最も多かったのは、ジョブズが亡くなる直前、iPhone4Sの記者発表。35万人もの人が視聴した。

同時通訳する競合番組はほかにもいくつかあるが、「Tehu君の番組が一番わかりやすい」という声が届くという。その理由をこう自己分析する。

「たぶんボクはソフトウェアとハードウェアの知識があるからだろう。ほかの人は、ただのアップルファンだったり、もしくはアップルをよく知らない翻訳のプロだったりするので、実際の記者発表以外の情報量が違う」

英語の教材は公文とジョブズ

では英語力はどうやって身につけたのか。

「単に英語を始めたのが早かっただけ。3歳から公文で習った。公文式は何がいいかというと、文法から入らないこと。3歳だと『主語』とか言われても何?って状態なので、ひたすら例文を読んで書いて体に染み込みこませるという、いわゆるネイティブ的な覚え方をした」

これを知って「くもん、いくもん♪」と言う3歳児が増えるかもしれない。だが、お受験ママたちよ、ちょっと待ってほしい。Tehuママは一手間も二手間もかけている。

「公文の教材は、英単語の後ろにカタカナで読み方が書いてあった。たとえば『future』だったら『フューチャー』って。うちの母親は、『これは絶対いけない』と言って、ボクに教材を渡す前に修正テープで塗りつぶして、フォニックスという英語の正しい発音を学ばせるメソッドをやらせた」

カタカナで覚えてしまうと、耳に入ってくるネイティブの発音が認識できないため、聞き取ることができない。日本人のリスニング力が弱いのはこのせいだとTehu君は指摘する。

ただ、公文はCDの教材もある。リーディング、ライティング、リスニングは公文式で鍛え、スピーキングに関しては、ジョブズのプレゼンを繰り返し見ながらシャドウイングして鍛えた。「ジョブズは1時間半のプレゼンを毎年約3本やっていて、10年分をネットで見られる。全部マスターすれば英語が相当うまくなる」。

ちなみにTehu君は算数も公文で習い、5歳で微分積分を解いた。

2011年3月、中学3年の終わりに東日本大震災と原発事故が起きた。放射能の聞き慣れない単位や数値が飛び交い、人々の不安が高まるのを見て、「放射能計算機」のiPhoneアプリを3日間で作った。

アップルの申請には通常約1週間かかるが、アップル本社の担当者に電話して「緊急だから承認を急いでくれ」と訴えた。2日で承認がおり、3月20日にリリースできた。これは65万ダウンロードを記録する。このアプリを作ったのは、人のために何かしたいという気持ちからだった。

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