固定資産税が重すぎる人の解消されない悩み

市場価値が下がっても減らない硬直的な制度

リゾートマンションの実際の価格の下落は、深刻さを増している。2016年12月、新潟地裁長岡支部で湯沢町のリゾートマンション9戸が借金の担保として入札による競売にかけられた。1988~1990年までのバブル期に建てられた約23~44平方メートルの物件に、裁判所がつけた基準額は8戸が1万円で、1戸が15万円と信じられない低さだった。ところが、入札の結果、7戸が1万~16万0001円で落札され、2戸は売れ残った。

この人気のなさは、いずれの部屋にも管理費や修繕積立金の滞納があったためだ。その額、約37万~1466万円だが、競売で落札した人は前の持ち主の滞納でも原則として引き継がなければならない。滞納額が物件の評価額を上回るが、マイナスの金額はつけられないため、裁判所は便宜上、1万円の基準額をつける。実は借金の塊を買うことになるため、1万円でも高いということだ。1戸の基準額が15万円だったのは、管理組合が滞納金を放棄したためだったが、それが最も高い16万0001円で売れたのだった。

借金を別にして、評価がいちばん高かったのは、1989年に建った14階建ての最上階にある約44平方メートルの部屋で、ジャグジーやサウナ付きの大浴場と、フィットネスルームやビリヤードコーナーもあるホテルのようなマンションだが、129万円と評価された。しかし、滞納が136万円余りあったことなどからマイナスで、結局1万円の基準額になった。評価が最も低かったのは、1988年に建った約36平方メートルの部屋で12万円だったが、滞納が約1466万円もあった。

全国の裁判所がインターネットで公開する競売物件を調べたデータベースを運営する不動産競売流通協会(青山一広代表)によると、湯沢町のマンションの競売による落札平均額(1平方メートル当たり)は、2010年度には全国平均の62%の1万4000円余りだったが、2015年度には同17%の2600円余りにまで下がった。

競売をするときには、裁判所が物件の評価をする。湯沢町のリゾートマンションの評価書にはほぼ共通して次のことが書いてある。

「湯沢町のスキー場利用者は1992年度の818万人をピークに大幅な減少が続き、2015年度には約246万人であった。2011年度からはやや回復傾向となったが、250万人前後で増減を繰り返している。若者のレジャーの多様化などにより、今後も大幅な回復を見込むのは難しい状況にある」

あるマンションの評価書はこんな書き方をしている。

「新幹線や高速道路から比較的近く、諸条件に恵まれてはいるが、ブームが去って久しく、マンションの利用率は低く、いまやそこはかとなくうら寂しい雰囲気が漂っている」

管理組合が競売にかけて落札している

競売にかけるのは管理組合だ。管理費や修繕積立金の滞納は放置すると膨らむばかりだし、ほかの所有者にも広がる心配がある。そうなると、マンションの価値はさらに落ちて管理組合が崩壊する。悪質な滞納に歯止めをかけるためには、管理組合が自ら動いて競売にかけるだけではなく、入札に参加する人がいないことを見越して、自ら落札して滞納をなくし、新たな入居者を探すことが多い。

9戸のうち7戸が落札された12月の競売でも、6戸は管理組合が落札し、売れ残った2戸のうち1戸は通常の競売とは別に、先着順で売る「特別売却」で、1万円よりさらに安い8000円で管理組合が買った。

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