固定資産税が重すぎる人の解消されない悩み

市場価値が下がっても減らない硬直的な制度

固定資産税を計算する基になる建物の評価額は、同じ建物を建てるのにいくらかかるかを、所管する総務省が決める基準で積算して、経年劣化分の減額をする(再建築価格)。そのため、マンションの評価額は、同じ建物であれば立っている場所に関係なく同じになる。その評価額に1.4%をかけて税額を算出する。いろいろ例外規定があるが、500万円と評価されたマンションの固定資産税は年間で7万円になる。懇談会で「時価評価方式」が話題になったのは、リゾートマンションの価格が大きく崩れて、実際の販売価格に対して固定資産税の負担が大きいと考える人が多いためだ。

リゾートマンションの不動産広告を見ると、部屋が2階になっているメゾネットタイプで70平方メートル以上ある物件についた価格が10万円で、年間の固定資産税額がそれに近いようなケースもある。投げ売り状態なのに、固定資産評価額が規定どおりのためだ。リゾートマンションに付属する大浴場など共用施設にかかる固定資産税は部屋の面積に応じて所有者が負担する。部屋の面積だけで見ると東京のマンションよりも割高になることもある。

しかし、高橋弘介税務町民部長は、次のように答えて、時価方式を否定した。

「再建築価格による評価方式は自治体の安定した財源確保のためです。時価評価方式は税収入が不安定になる要素がある。地方税法で決まるので、それにのっとってやっていく」

固定資産税引き下げの財源に使えないのかと提案があった「移住定住促進プロジェクト」は、同町が、若者が生まれ育った町に戻るUターンや、故郷ではなくても移住するIターンのきっかけになる補助金を出そうというもので、2016年8月に打ち出した。①町内に移住する夫婦が新たに家を買った場合の固定資産税相当を、最大15万円、5年間にわたって補助する、②新幹線通勤の定期券代を1カ月最大5万円まで補助する――などという内容だ。

この引き下げ案についても町は「その点は考えていない」と否定したが、リゾートマンション住民からすると、町の財政は自分たちが払う固定資産税が支えているという意識が強い。

というのも、湯沢町の町税収入の8割は30億円弱の固定資産税だからだ。そのうち、リゾートマンションは約8億9000万円と3割を占める。町を支えてきたスキー場やホテルが斜陽化して法人税が減っても、人口が高齢化して住民税を払う人が減っても、固定資産税は建物などがあるかぎり、支払わなければならない。リゾートマンションの部屋数が湯沢町の世帯数の4倍あるということは、それだけ町外の人が固定資産税を払って支えてきたことにもなる。

タワマン節税の「一穴」

しかし、ここにきてリゾートマンション住民にプラスの要素も出てきた。それは、都会に立つタワーマンション(タワマン)の固定資産税課税で見直しがあったことだ。

タワマンは、かつてのリゾートマンンションと似たような投資対象になり、実際に住んでいる所有者は少ない。その動機の1つに「タワマン節税」がある。相続税や贈与税を軽くすることが目的だが、固定資産税の評価額が、同じ面積であれば高層階でも低層階でも同じになることが重要なポイントになっている。タワマンの実際の取引額は大きく違うため、タワマンの高層階を買って子供に譲るなどすれば、現金で渡すよりも課税額を圧縮することができるのだ。

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