米国経済は9月以降に波乱も 景気・経済観測(米国)

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先行きの消費については、今のところ強弱入り混じる状況だ。

消費者マインドを表すカンファレンスボード消費者信頼感調査を見ると、現状指数が7月にかけて4カ月連続で上昇した。これは、2008年5月以来、約5年ぶりの水準で、消費意欲は回復基調にある。

一方、消費の源泉となる所得面で、先日発表された7月の雇用統計が弱い結果となったことは気掛かりだ。非農業部門雇用者数は前月差プラス16.2万人(6月は同プラス18.8万人)と伸びが鈍化した。5~6月も合わせて2.6万人下方改訂されており、20万人前後の堅調な結果を見込んでいた市場にとっては、期待外れの内容と言える。

また、7月は時間当たり賃金が前月比マイナス0.1%(6月は同プラス0.4%)と予想外の低下となったことに加え、週当たり労働時間が34.4時間(6月は34.5時間)と減少した。ならしてみれば、雇用・所得環境の回復傾向が続いているという見方に変わりはないが、そのペースは足元でやや鈍っているようだ。

企業部門は生産や設備投資で回復の動きが進展

こうした中、春先以降に弱さがみられた企業部門では持ち直しの動きが進んでいる。企業業況を表すISM製造業指数は、7月に55.4(6月は50.9)と大幅に改善した。内訳を見ると、生産指数が2004年5月以来の高水準まで急上昇したほか、先行きを占ううえで重要な新規受注指数も改善し、製造業の回復ペースが足元で力強さを増しつつあることを示唆している。

実際の生産動向を見ると、製造業ではITや自動車関連などを中心に幅広く生産が拡大し、5~6月と増産基調にある。海外経済の減速や歳出削減などによる受注の伸び悩みを背景に、春先から在庫調整圧力が強まっていたが、足元ではそうした在庫削減の動きが緩和しているもようだ。

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