「外資のネスレ」がここ日本で躍進できる理由 ネスカフェアンバサダーがいかに「型破り」か

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従来、ネスレ日本は家庭のコーヒー市場ではシェアトップの一方で、オフィス市場では苦戦を強いられていたそうです。そこでネスレ日本では、前述のバリスタというコーヒーマシンを、ネスカフェ アンバサダーに登録してくれた人のオフィスに無料で提供するという新しい取り組みに挑戦しました。

ネスカフェ アンバサダーの詳細については、東洋経済オンラインが配信した「ネスレ、17万人の"コーヒー大使"を率いる男」という記事に詳しく解説されています。注目すべき点はネスカフェ アンバサダーの仕組みが性善説のうえに成り立っている点です。たとえば、ネスカフェ アンバサダーでは、バリスタやドルチェグストのような家庭向けには有料で販売されている端末がオフィスに無料で提供されます。

日本人ならではの性格を活かす

日本の職場であれば、この端末が盗難に遭うということはそれほど多くないかもしれませんが、あまり治安の良くない国の職場に、そんな有料の家庭でも使える端末が無防備に置いてあったら、あっという間に誰かが盗んでしまうかもしれません。

また、ネスカフェ アンバサダーでは、通常社員の方々は20円や30円でコーヒーを飲める仕組みになっていますが、これも一般的には自動販売機のような盗難が難しい形ではなく、貯金箱のような簡単な缶に小銭を入れる形で集金をするケースが多いようです。

ネスカフェアンバサダーは顧客を信じる性善説の上に成り立っています(写真はネスレ日本提供)

これまた治安の悪い国であれば盗まれてしまうことも多いでしょうし、ルーズな国民性の国であれば多くの人がおカネを払わずにタダで飲んでしまって仕組み自体が機能しなくなることも多いはずです。

さらに言うと、ネスカフェ アンバサダーは基本的にオフィスにおける運営は、アンバサダーに登録した人のボランティアで運営されることが通常です。

アンバサダーに登録した人は、職場の人たちのために、ネスカフェのコーヒーやカプセルを定期的に注文し、集金し、掃除をし、管理をする手間を一手に引き受けることになります。

そうしたある意味、本来自販機やオフィスグリコのようなオフィス内店舗の仕組みであれば提供企業側が運営をすべて担当するところを、ネスカフェ アンバサダーでは顧客であるアンバサダーが代わりに代行してくれます。

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